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てんかん発作・運転事故再発防止策は
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手元のハンドブック(同支部編集)は、てんかんについてわかりやすく解説している
昨年4月、鹿沼市で6人の児童の命を奪ったクレーン車事故は、運転手の男性が薬の服用を怠り、てんかん
発作を起こしたことが原因だった。遺族らが法改正を求めるなど、てんかん患者による交通事故に厳しい目が
向けられている。長年、患者の支援を続けてきた日本てんかん協会県支部事務局長の鈴木勇二さんに、
事故をなくすためにどう考えるかを聞いた。
―てんかんの現状について教えてください。
「てんかんとは大脳の病気で発作を繰り返すのが特徴です。遺伝性の病気ではないため、誰もが発症する
可能性があります。最新の治療でも治らない患者もいますが、薬を規則正しく飲めば8割の人が発作を抑える
ことができ、薬を止めることができる人もいます」
「てんかん発作は、昔から偏見と誤解の目で見られてきました。就職の際にてんかんと言っただけで会社からは
門前払い。目や耳の不自由な人や車いすの人は助けても、てんかんの患者からは遠ざかる人がいるのは事実です」
―鹿沼の事故後、協会にはどのような相談がありますか。
「免許の取得や更新、勤め先で解雇されたといったものまで様々です。免許を持つことが社会を生きる上で心の
寄りどころになっているという40代の人からは、『警察に絶対に運転しないから免許を下さいって言ったらくれますか?』
と、思い詰めた相談もありました。それくらい真剣に考える人もいるからこそ、今回の事故の運転手には憤っています」
―事故後、遺族が現行の免許制度と刑法の改正に向けた署名活動をしています。
「厳罰化すれば、免許の不正取得者は減るかもしれないけれど、それが本当の再発防止につながるのでしょうか。
事故の背景をしっかりと分析し、どうすべきかという議論がまず必要だと考えます」
「国は1999年から障害者の社会参加を促し、それまで取得できなかった資格や免許の取得条件を一斉に見直し
ました。てんかんも、それまで運転免許が取得できない『絶対的欠格事由』だったのですが、状況に応じて取得できる
『相対的欠格事由』として認められました。2002年からは、道交法が改正され、取得が可能となりました。運転免許の
問題を議論する場合には、免許を含めた制度すべてを見直す必要があります」
「てんかん以外にも、糖尿病や心筋梗塞(しん・きん・こう・そく)、ナルコレプシー(睡眠障害)などの病気も発作が
おきます。これらもどうするのかといった議論が必要になるでしょう」
―遺族への思いは。
「複数の遺族から、『この事故がきっかけで、てんかんの人に偏見を持たれるのが心配です』と言っていただいた。深い
悲しみの中で、私たちの気持ちも酌んでくれた。お互いに再発防止が一番の目的。私は立場上、署名には協力でき
ないけれど、病気に関しての情報提供はしていきたいと思っています」
―事故の再発防止に向け、今後の取り組みを教えてください。
「患者には、まず何よりも当事者意識を持ってほしい。病気と向き合い、現行の免許取得のルールを守ることが社会
的責任を果たすことにつながります。協会としては事故を受け、理解をさらに深めてもらおうと、『やさしいてんかんハンド
ブック』という解説書の改訂版を作りました。それを資料にして知的障害者施設で講演活動もしています。今後は、
警察学校でも講演をしてみたい。本当は患者本人が社会に発信することが有効かもしれませんが、家族が反対する
ことが多いのです。だから、私が代弁するしかないと思っています」
(聞き手・佐藤英彬)
すずき・ゆうじ 1942年生まれ。宇都宮大名誉教授。長男の病気がきっかけで、日本てんかん協会の活動に参加し、
87年、同協会栃木県支部を立ち上げる。94年~02年まで日本てんかん協会の会長も務めた。
朝日新聞マイタウン栃木 2012年02月26日
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