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スマートグリッド:ガラスと樹脂で作った電池、リチウムを超えるのか
イーメックスはリチウムイオン二次電池と似た新型電池を開発した。「高分子・ガラス電池」と呼ぶ。
20年以上利用でき、低コスト化が可能だ。さらに充電時間が数分と短い。これはリチウムイオン二次
電池では実現が困難な優れた性質だ。どのようにして新電池を実現したのだろうか。
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金属硫化物ガラス
イーメックスは2012年2月、リチウムイオン二次電池を上回る長寿命で低コストな新型電池「高分子・
ガラス電池」を開発した(図1)。
従来のリチウムイオン二次電池の性能は頭打ちになっているが、正極と負極に新材料を用いることで
性能向上を果たしたという。「現在、性能評価を終えて、小型の連続製造装置が完成したところだ」
(イーメックスの代表取締役である瀬和信吾氏)。
同電池の特長を一言でいうなら、エネルギー密度に優れる二次電池と、パワー密度に優れるキャパ
シタの良いところ取りをした電池である。小型の電気自動車(EV)や太陽光発電システムとの併用などに
向くとした。キャパシタに向く用途、すなわちEVのエネルギー回生や建機などにも役立つという。
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図1 イーメックスの高分子・ガラス電池 高分子・ガラス電池の試作品(図左の白い板)と正極(図中央)、
負極(図右)。正極は連続生産するために帯状になっている。負極は金属箔(はく)に粉末状のガラス材料
を塗布したものだ。出典:イーメックス
新電池が特に優れるのは1秒間に取り出せるエネルギーの量を示すパワー密度だ。7000W/kgという新
電池の値は、電気二重層キャパシタ*1)以上であり、短時間で大電流が必要なモーターなどの用途に
向く。パワー密度が高いため、充放電に要する時間も短い。通常のリチウムイオン二次電池では30~60
分を要する充電時間を3~10分に短縮できる。
*1) 電気二重層キャパシタとは、電極のすぐ近くの界面にできる「電気二重層」と呼ばれる、分子の長さに
匹敵するほど薄い層を蓄電に利用するキャパシタ(コンデンサー)。ごく薄い電気二重層が電力を蓄えている
ため、抵抗が低くなり、短時間に大電力を出し入れできる(関連記事:ガソリン車でもハイブリッドに近い燃費
を実現か、マツダがキャパシタ採用)。
新電池の重量エネルギー密度は60~80Wh/kgである。イーメックスによれば、EV用のリチウムイオン二次
電池のエネルギー密度は70Wh/kgであるため、十分競合できるという*2)。今後、エネルギー密度を160
Wh/kg以上に高める開発を続けるとした。
*2) ただし、携帯電話用途のリチウムイオン二次電池のエネルギー密度は150Wh/kgと高い。
どうやって性能を高めたのか
現在広く使われているリチウムイオン二次電池は、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイト
(炭素)を採用したものが多い。正極材料を変えることで電池の容量や安全性を高める開発が盛んである。
負極にスズ(Sn)やシリコン(Si)を用いて容量を拡大しようとする研究も進んでいる。
リチウムイオン二次電池の動作を見ると、性能改善策が理解しやすい(図2)。パワー密度を高めるにはLi+
(リチウムイオン)がより移動しやすくなるよう改善すればよい*3)。負極、正極とも工夫が必要だ。エネルギー
密度を高めるためには、負極、正極が取り込むことのできるLi+の数を増やせばよい。
*3) 電池全体の内部抵抗を低減する必要があるので、端子から電極までの電気抵抗を低く保つ設計
なども重要である。
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図2 リチウムイオン二次電池の動作 Li+(リチウムイオン)の移動によって充放電を実現している。充電時
には左側の負極にLi+が入り、放電時は右側のリチウム金属酸化物(図ではLiCoO2:コバルト酸リチウム)に
Li+が移動する。電解質には有機物である炭酸エチレン(EC)や炭酸ジエチル(DEC)などの有機混合溶媒に、
LiPF6(六フッ化リンリチウム)などを溶かし込んで用いることが多い。
畑陽一郎/@IT MONOist 2012年02月29日11時30分
URLリンク(monoist.atmarkit.co.jp)
>>2辺りに続く