12/01/26 16:59:14.92 BE:970745639-2BP(1056)
自然界の基本粒子とは異なる「準粒子」の存在が期待される電子状態を世界で初めて解明
~エラー発生率が非常に低い新しい量子計算の手法に期待~
日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺、以下 NTT)と
独立行政法人科学技術振興機構(埼玉県川口市、理事長:中村 道治、以下 JST)は、
自然界の基本粒子(フェルミ粒子、ボーズ粒子)とは異なる非アーベリアン準粒子の存在が期待される
電子状態を世界で初めて解明しました。
本成果は、5/2分数量子ホール状態(以下 5/2状態)という
非常に純度の高い半導体結晶中においてのみ実現される特殊な電子状態を、
NTTとJSTが独自に開発した高感度核磁気共鳴(NMR)法により測定することで得られました。
今後、準粒子の実証実験を行い、エラー発生率が非常に低い新しい手法の
量子計算(トポロジカル量子計算)の応用を検討します。
なお、本成果は米国時間2012年1月26日(日本時間1月27日未明)に
米国科学雑誌「Science」のオンライン速報版(Science Express)で公開されます。
1.研究の背景
量子コンピュータは従来のコンピュータをはるかにしのぐ計算能力を有すると期待されていますが、
計算の規模が大きくなると外部擾乱や論理ゲートの精度不足によるエラー発生や、
そのためのエラー補正が重要な課題となります。
そのような問題を根本的に解決する方策として、エラー発生率が非常に低くなると期待される
トポロジカル量子計算(図1)という新しいアイデアが提案され、興味を集めていますが、
それが現実のものとなるためには、自然界の基本粒子とは異なる特異な性質をもった粒子
(非アーベリアン準粒子)(図2)が必要です。
5/2状態(図3)という非常に純度の高い半導体結晶中で見られる特殊な電子状態において、
非アーベリアン準粒子が存在すると期待されていますが、この状態は従来の理論では説明できないため、
そのメカニズムを明らかにすることが課題となっていました。
2.研究の成果
今回、NTTとJSTの共同研究チームは、独自に開発した高感度抵抗検出NMR法(図4)を用いることで、
非常に壊れやすい5/2状態において、電子のスピン状態を正確かつ直接的に測定することに成功し、
すべてのスピンが同じ向きに揃っていることを明らかにしました。(図5)
5/2状態を説明するために提案されている理論の中で、非アーベリアン準粒子の存在を否定する理論では、
上向きと下向きのスピンが同数になるとされていたため、その理論は排除され、
実験と一致するのは非アーベリアン準粒子の存在を肯定する理論に絞られました。
そのため、5/2状態において非アーベリアン準粒子が存在する可能性が非常に高くなりました。
本成果は、フェルミ粒子でもボーズ粒子でもない非アーベリアン準粒子が現実に存在する可能性を大きく高め、
さらにそれを用いた新しい量子計算手法の研究に期待を持たせるものです。
3.技術のポイント
5/2状態を壊さずにそのスピン状態を測定するためには、
高純度の半導体結晶と、高感度の測定技術が必要です。
今回の成果は、NTTが有する高純度半導体の結晶成長技術と抵抗検出核磁気共鳴(NMR)技術に、
さらに改良を加えることで可能となりました。
(中略)
4.今後の展開
今回の実験では、準粒子の性質を決める電子のスピン状態に着目しました。
今後は準粒子の性質に着目し、準粒子の閉じ込めや干渉などの実証実験を通じて
トポロジカル量子計算の応用を検討します。
(以下略)
NTT 先端技術総合研究所
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