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ヒトiPS細胞からつくった肝臓細胞、市販へ
医薬基盤研究所(大阪府茨木市)とバイオベンチャー「リプロセル」(横浜市)は15日、
ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくった肝臓細胞を製品化したと発表した。
来年4月に販売開始する予定。薬の安全性や副作用の検査が効率よくでき、新薬を
安く早く開発するのに役立つという。iPS細胞でつくった細胞では、心筋や神経細胞は
すでに製品化されているが、肝臓細胞は初めて。
医薬基盤研などによると、特定の遺伝子を適切な時期に導入することで、効率良く
肝臓細胞を作り出せるという。従来1~2割程度だった効率を8~9割までに上げられた
としている。この手法は、医薬基盤研の水口裕之チーフプロジェクトリーダー(大阪大
教授併任)らが開発した。
肝臓には薬を分解する働きがあり、薬剤が肝臓にどう働くかや、毒性がないかの確認
は、新薬開発の初期段階で欠かせないが、現在はヒトの肝臓細胞から育てた輸入品に
頼っている。
朝日新聞 2011年12月17日0時16分
URLリンク(www.asahi.com)
(独)医薬基盤研究所と(株)リプロセルとの共同開発により 世界初のヒトiPS細胞から
分化誘導した肝臓細胞の製品化に成功(中略)
【研究の概要】
新薬開発の過程で、しばしば問題となるのが薬物誘発性肝障害(肝毒性)ですが、
医薬品の開発プロセスの早期に肝毒性を確度良く予測することは、創薬コストの削減・
開発期間の短縮・創薬シーズのヒット率の向上をもたらし、我が国の基幹産業のひとつで
ある製薬産業の国際競争力向上に繋がることが期待されます。
現在の開発プロセスにおいては、ヒト初代培養肝細胞の利用により肝毒性評価を実施
しているものの、我が国においては入手が困難なため、その全量を輸入に依存している状況
にあります。安定供給及び継続性の観点からその利用には限界があるため、より安定かつ
容易に使用できる肝毒性評価系の確立が望まれていました。
基盤研 幹細胞制御プロジェクトを中心とする研究チームは、独自に開発した遺伝子
導入技術(改良型アデノウイルスベクター)を駆使して、細胞分化に必要な遺伝子を分化
ステージに応じて順次導入していくことで、iPS 細胞から肝細胞への効率の良い分化誘導
法(通常1~3割の分化効率が8~9割になる。)の開発に成功しました。
本技術を用いて分化誘導した肝細胞は、初代培養ヒト肝細胞と同等の薬物代謝酵素
活性を示すことが判明しており、簡便かつ形質が安定した新規細胞評価系の基盤が整備
され、新薬開発研究段階での毒性評価試験や薬物動態試験への応用が期待されます。
【製品の特徴】
本技術を用いて製品化されたiPS細胞由来肝細胞は、現在製薬企業で使用されている
初代培養ヒト肝細胞と同等の薬物代謝酵素活性を示すなど、これまでにない高いレベルの
技術であり、毒性評価試験や薬物動態試験への早期の応用が期待されます。
(独)医薬基盤研究所ニュース 2011年12月15日
URLリンク(www.nibio.go.jp)
株式会社リプロセル
URLリンク(www.reprocell.com)
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