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ソース(東洋経済オンライン) URLリンク(toyokeizai.net)
写真=1月27日、USTRが議会証言をする中で、傍聴席にいる男性は「TPPは仕事を減らす法律」と書かれた布を拡げてみせた
(写真:ロイター/アフロ)。TPPを前進させるためには、オバマ大統領が議会と誠実に向き合うことが重要になっている
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パトリック・クローニン(Patrick M. Cronin)博士は、新アメリカ安全保障センター (CNAS) アジア太平洋安全保障プログラムの
上級顧問兼専務理事を務めている。それ以前、クローニン博士は米国ナショナル・ディフェンス大学の国家戦略研究機関 (INSS) の
専務理事を務め、そこでは中国軍事問題研究センターを同時に率いていた。
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同氏は、アジア太平洋地域における安全保障とアメリカ国防・外交・開発方針の両方について豊富な知識と経歴を持っている。
また現在も、大きな影響力を持っている。
そこで、米国の通商戦略からみた、日本との関係の行方について、環太平洋経済提携協定(TPP)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)
などの懸案に焦点を当て、その見解を聞いた。前編はTPPについて、4月12日公開の後編では主にAIIBについて聞く。
■米国の市場支配力を示せ
─米国議会は現在、TPPについて議論している。あなたは、議会に対し、「TPPは米国の安全保障にとって重要であり、TPPこそが
地域において軍事面のみでの大国にすぎないというイメージを刷新する」と主張している。
現在のアジア太平洋地域において、圧倒的に重要なことは貿易と経済だ。かつての米国は、この地域において唯一の経済大国、
貿易大国だったが、今ではその地位は後退している。
そこから巻き返すために、米国はTPPを構想した。私が米国の政策立案者に主張したいのは、米国が市場支配力を持っていること、
また米国が、貿易に対する、さらにいえばグローバル・コモンズに対する自由なアクセスに注意を払っていることを、この地域に再認識
させることが重要ということだ。
もしTPPが妥結しなければ、米国のアジア太平洋地域における支配力が揺らぎ、次期政権にも悪影響を及ぼす。次期政権が、この地域
と議会から支持を得られる新しいイニシアティブを確立しようとすれば、膨大な時間が必要となるだろう。
そもそも、日本が対話・交渉をいつまでも長引かせる傾向があるからという理由で、米通商代表部 (USTR) が日本をTPPに参加させる
ことに反対したのは、実に皮肉なことだった。TPP交渉の妥結の瀬戸際となった現時点でグズグズしているのは、安倍首相ではない。
むしろ米国の方だ。米国こそが「機能不全を起こした参加国」との様相を呈している。
日本にとって、TPPが重要な戦略的利益を生むことは明らか。安倍首相は、日本が大国の座からすべり落ちることを回避しようと躍起に
なっている。特に、中国が急速に台頭するなかで、大国としての地位を守ろうと努力している。アベノミクスの第3の矢である構造改革は、
TPPを待望しており、TPPが実現しなければ、日本にとって深刻な打撃となる。
─安倍政権はTPPをそのような戦略的観点から見ているのか。
日本はTPP交渉の過程で、自国の経済成長を模索する一方、日米同盟の強化を模索してきた。しかし、日本は十分な安心感を得られて
いない。尖閣諸島について日本が感じている不安を考えてみるといい。南シナ海における中国との紛争が激化しており、米国が日本に
十分にコミットするのか、警戒している。
どのような同盟関係でも、たいてい不安要素があるものだが、この件に関しては、日本がきわめて強い不安を抱いている。このため、
オバマ大統領は昨年、日本との安全保障条約の第5条は尖閣諸島に適用されることをはっきり明言してみせた。
(>>2以降に続く)