15/01/22 18:05:47.06
【カイロ秋山信一】イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループが日本政府に人質2人の身代金を要求した事件で、日本人2人が
シリア北部ラッカ周辺で拘束されている可能性が高いことが21日、シリア反体制派への取材などで分かった。ラッカはイスラム国の本拠地で、
特殊部隊などが潜入するのは難しく、米軍の人質救出作戦も昨年、失敗している。交渉以外で2人を救出するのは困難な情勢で政府は難しい
対応を迫られている。
日本政府によると、拘束されているのは千葉市出身の湯川遥菜さん(42)と仙台市出身の後藤健二さん(47)。イスラム国は20日、2人の
映像を公開し、政府に72時間以内に身代金2億ドル(約236億円)を支払うよう要求した。
2人のシリア入国を助けた複数のシリア反体制派メンバーによると、湯川さんは昨年7月、後藤さんは10月、それぞれトルコ国境の
バーブサラマ検問所からシリア入りし、アレッポ北郊のマレア周辺で消息を絶った。
アレッポ近辺では、アサド政権と反体制派、イスラム国が三つどもえの抗争を続けている。反体制派組織「イスラム戦線」メンバーのイスラム・
アルウシュ氏によると、イスラム国は通常、アレッポ付近で捕虜や人質を拘束した場合、敵対勢力に奪われないため、実効支配が確立している
ラッカに移送する。過去にイスラム国に処刑された欧米人記者らも、ラッカ周辺で1カ所に集められていたことが、これまで解放された人質の
証言で分かっている。
湯川さんに同行し、行方が分からなくなった後にイスラム国との解放交渉を続けてきたイスラム戦線幹部は「湯川さんはラッカに移動した
可能性が高い」と証言した。また、イスラム国の動向に詳しく、シリア北部に住んだ経験があるイラク人安全保障専門家、ヒシャム・ハシミ氏も、
20日公開された映像について「背景の砂漠の状況などからラッカ周辺で撮影されたのは間違いない」と分析した。ただ、映像は合成された
疑いも指摘されている。
しかし、詳細な居場所の特定は困難とみられる。イスラム国に約10カ月間拘束されていた仏人記者は「12回以上場所を変えた」と地元メディア
に証言。米軍主導の有志国連合やアサド政権の攻撃を警戒し、ラッカ周辺で頻繁に場所を変えている模様だ。
米軍は昨年夏、ラッカ付近でヘリコプターから特殊部隊を降下させ人質を救出しようとしたが、目標地点に人質はいなかった。ラッカ周辺には、
アサド政権や親欧米反体制派の地上部隊も不在で、救出作戦を実施するのは厳しい状況だ。
ソース(毎日新聞) URLリンク(mainichi.jp)
地図 URLリンク(img.mainichi.jp)