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ソース(JBPress、2014年8月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は1980年代に旧ソビエト連邦国家保安委員会(KGB)の情報将校として、共産主義国だった
旧ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)に5年間滞在した。ドイツのことは理解しているという自負がある。
しかし今回のウクライナ危機を巡っては、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の気持ちと決意を大きく読み誤った。大統領の経験は
明らかに陳腐化していた。
■プーチン大統領の大きな誤算
写真=EUによる対ロ制裁強化を主導したドイツのアンゲラ・メルケル首相〔AFPBB News〕
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欧州連合(EU)加盟28カ国が先月、ウクライナの内戦においてロシア政府が分離主義者の武装勢力を支援したとの理由からロシア
への制裁強化で合意した時、クレムリンはショックを受けた。
ドイツの輸出企業に深刻な影響を及ぼすような行動を取ることにはメルケル首相が抵抗するだろう、とプーチン氏は見込んでいた
からだ。
この読みは間違っていた。今回の制裁パッケージは、ドイツ政府が推し進めたものだった。メルケル首相とフランク・ヴァルター・
シュタインマイヤー外相が主導したドイツの政策において、何よりも重要だったのは、欧州の共同戦線を維持するという決意だったのだ。
「プーチンは昔のスタイルのKGBのスパイだ。何でもゼロサムゲームだと考えている。いろいろな選択肢を残しておき、2国間の接触や
企業との接触を通じてEUや西側諸国を分裂させようとしている」。メルケル氏が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の副議員団長、
アンドレアス・ショッケンホフ氏はこう語る。
「首相は欧州諸国を一つにまとめ、かつ企業を仲間に引き込むために、長い時間と大量のエネルギーを費やした」
メルケル氏の真意を読み違えた指導者はプーチン氏が初めてではない。英国のデビッド・キャメロン首相は過日、ルクセンブルクの
ジャン・クロード・ユンケル氏が次期欧州委員会委員長に指名されるのを阻止しようとメルケル氏の支持を求めた時に、同じように
間違えた。しかし、プーチン氏の読み違いは、はるかに深刻なものになる恐れを秘めている。
外交的な解決策を見いだす力を持った唯一の欧州の指導者は、ウクライナにおけるプーチン氏の振る舞いを見て、今年3月のクリミア
併合以降は同氏から距離を置くようになっている。プーチン氏は出口戦略を持たずに行動し、にっちもさっちもいかなくなってしまった
格好だ。
もっとも、ベルリンからの信号は何カ月も前からずっと発信されている。プーチン氏が2012年に大統領の座に返り咲いて以来、
メルケル氏はロシア政府の専制主義的傾向とナショナリズム志向に不快感を示してきた。合意されている国境を一方的に変更した
クリミア占領にはショックを受けていた。
写真=ウラジーミル・プーチン大統領は何度もウソをついたとされる〔AFPBB News〕
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ドイツ政府高官の話によれば、メルケル氏がプーチン氏をとうとう信用しなくなったのは、分離主義者を制止する用意やロシアの関与
についてプーチン氏がウソを繰り返した(両者は30回以上電話で話をしていた)と考えるに至ったからだという。メルケル首相にとって、
信用できるか否かは非常に重要だ。
メルケル氏は不承不承、EUによるロシア制裁の中心になった。平和的な解決を目指す傾向が強い同氏は、キエフやロンドン、
ワシントンではロシア政府シンパとして嘲笑された。しかし、ロシアは妥協しなければならず、それができないなら相応の結果に直面
するとの見方は常に明確にしていた。
メルケル氏はプーチン氏の頑迷さに対し、何の脈絡もなく厳しい態度で臨んでいるわけではない。ドイツの外交政策の見直しはすでに
進められており、ウクライナ危機はそれを加速させたというのが実情だ。
(>>2以降に続く)