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(>>1の続き)
<物価上昇の懸念も>
世界銀行は、ギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国では、感染地域の住民が農地を離れているため、農業が打撃を受けていると
指摘する。
リベリアのコネー財務相は、農業と輸送業の停滞や市場の活動低下により、主要食品の価格が上昇する可能性もあると指摘。
「インフレを注視している。今のところ大丈夫だが、住民が孤立し、主要市場が閉鎖されたロファ(ギニアとシエラレオネと国境を
接する)の状況を懸念している」とし、「食品価格の上昇を招きかねない都市部住民の買いだめ」に警戒感を示した。
首都モンロビアの住民は、エボラ感染への恐怖が日常生活にも混乱をもたらしていると話す。エボラウイルスは感染者の体液など
を通じて広がるが、客から感染するのを恐れたタクシー運転手は後部座席の乗車人数を4人から2人に減らし、運賃も値上げしている
という。
コネー財務相は、便乗値上げには政府が介入するとしている。
英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)(ICAG.L: 株価, 企業情報, レポート)やエミレーツEMIRA.ULなど大手航空会社の一部は、
エボラ感染が確認されている国への運航を停止した。また各国政府当局者によると、海外からの駐在員たちも感染を恐れて
国外退避しており、消費や歳入が落ち込む要因にもなっている。
ギニア財務省の高官は「空港やホテルの活動低下で収益が減少している」とロイターに語った。
内戦が10年以上続いたシエラレオネとリベリアはかつて、「絶望的なアフリカ大陸」の象徴的存在だった。ギニアは難民や武装勢力
の流入に苦しめられた。
しかし、内戦が終結して約10年が過ぎ、同3カ国は鉱山や石油開発、インフラ建設への外資流入を背景に急成長を経験した。
今、その経済回復がエボラ感染に脅かされている。リベリアのコネー財務相は「今回の経済的な難題は、長年にわたる内戦が終わり、
3カ国が平和と安定を享受している時に訪れた」と語った。
<「一緒に戦おう」>
同3カ国で事業を展開する大手外資企業の多くは、今回のエボラ熱流行に際し、従業員の移動を制限したうえで予防措置を講じる
など、慎重に対応している。
世界銀行は、高度なスキルを持った駐在員の国外退避が続けば、エボラ感染地域の鉱業では「生産量の相当の低下」があると
予想する。コネー財務相によると、鉄鋼大手アルセロールミタル(ISPA.AS: 株価, 企業情報, レポート)などはリベリアでの鉄鉱石鉱山
の操業を続けている。
エボラ隔離病棟が7月に作られたギニアのシギリで操業する南アの産金大手アングロゴールド・アシャンティ(ANGJ.J: 株価,
企業情報, レポート)は、現地で予防対策は取っているが、事業そのものに影響は出ていないとしている。
しかし、より広い地域に視野を広げると、鉱山各社は警戒を強めている。ガーナとコートジボワールで鉱山を所有するペルセウス・
マイニング(PRU.AX: 株価, 企業情報, レポート)は先月、ギニア、シエラレオネ、リベリアからの渡航者受け入れを禁止した。
リベリア沖で米石油大手エクソンモービル(XOM.N: 株価, 企業情報, レポート)と共同で石油開発を行うカナディアン・オーバーシーズ・
ペトロリアム(XOP.V: 株価, 企業情報, レポート)は、採掘開始を延期するとしている。
エクソンモービルは「モンロビア事務所は営業を続けている」としたうえで、社員の安全が最優先だと語った。
リベリアとシエラレオネの当局者は、エボラ熱を理由に投資を引き揚げないよう訴えている。
リベリアのコネー財務相は最後にこう語った。「国を離れないでほしい。われわれと一緒に戦おう。それが私からのメッセージだ」。
(終わり)