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ソース(JBPress、英エコノミスト誌 2014年8月2日号)
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強大な軍事力を持っていても、平和を実現できなければ、イスラエルの直面する未来は険しい。
写真=パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の攻撃により立ち上る煙塵〔AFPBB News〕
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イスラム原理主義組織ハマスは2007年からガザ地区を支配しているが、称賛すべき点はあまりない。ハマスは過激で狭量で、
意見の相違を認めようとしない。その中心にある信条は、反ユダヤ主義だ。
ハマスはイスラエルの領土にロケット弾を撃ち込み、イスラエル兵を殺したり誘拐したりするための地下トンネルを掘っている。
自らが挑発して招いたイスラエルからの攻撃により、1000人を超えるパレスチナ市民が殺され、それが世界中で同情を集めるで
あろうことを、ハマスは知っている。また、ハマスはかつてよりも弱体化している。その証拠に、現在ではイスラエルとの戦闘で劣勢に
回っている。
対するイスラエルは、中東で最も成功している国だ。中東で唯一の本物の民主主義国家であり、この国を中心に数々の発明や
起業が行われ、創造性が生み出されている。ガザ地区での戦闘に関しては、相手を圧倒する火力を持っている。国民のほとんどが
団結して兵士を支え、米連邦議会の強固な支援も手にしている。
だが、イスラエルは戦闘には勝利しつつあるものの、国際世論を巡る戦いでは苦戦している。これは重要な点だ。というのも、
1つにはイスラエルが国際的な貿易国であり、安全保障に関して米国との同盟を頼みにしているからだ。だが、イスラエルが一部の
批判に耳を傾ける必要があるという点でも、世論を巡る苦戦は意味があると言える。
■反ユダヤ主義:絶え間のない批判
1世代前、イスラエルはヤセル・アラファト議長が率いるパレスチナ解放機構(PLO)の説得に成功した。PLOは多くの点で、ハマス
よりもましな組織だった。
若いヨーロッパ人は、大学進学前の遊学期間をキブツ(イスラエルの農業共同体)で過ごした。1976年にイスラエルの奇襲部隊が
ウガンダのエンテベ空港ターミナルビルからユダヤ人の人質を救出した時には、西側諸国は喝采を送った。
だが、パレスチナ地域の占領が長引くにつれて、同情は急速に薄れていった。ガザ攻撃前の6月に発表された国際世論調査では、
世界23カ国の国民のうち、イスラエルが世界に悪い影響を与えていると回答した人が、良い影響を与えていると回答した人を26ポイント差
で上回った。イスラエルが悪い影響を与えていると回答した人はロシアよりも多く、イスラエルを上回ったのは、北朝鮮、パキスタン、
イランの3カ国だけだった。
イスラエルを「人種差別国家」と(どの国の国民よりもイスラエル国民が知っているはずの忌まわしい仰々しさで)呼ぶヨーロッパ人
の数も増えている。イスラエル支持派が安定して多数を占める米国でさえ、パレスチナ人に対する行為は不当だと考える人の割合は
2002年から5ポイント増加し、39%に上昇している。18~29歳の年齢層では、イスラエルを支持する人は4分の1にすぎない。
多くのイスラエル人と、米国議会の最も熱烈なイスラエル支持者たちは、現在のイスラエルに対する敵意を、イスラエルに悪者の
レッテルを貼り、ダブルスタンダードを適用し、その法的地位を認めない、長く続けられてきたプロセスの集大成だと考えている。
そうした考えにも一理ある。イスラエルを批判する者たちがしているように、ある国に高い水準を求めるのは、敬意を表す態度とも
なり得る。だが、イスラエルに対しては、道徳が攻撃の道具として利用される場合が多い。
(>>2以降に続く)