14/05/14 09:04:37.03
ソース(JBPress、英エコノミスト誌 2014年5月10日号)
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
ウクライナ問題を巡るロシア大統領の予想外の譲歩は、大統領がウクライナで欲しいと思っていたものの大半を既に手に入れたと
いう事実を反映している。
写真=ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は既に、望んでいたものをほぼ手に入れた〔AFPBB News〕
URLリンク(afpbb.ismcdn.jp)
サスペンススリラーでは、タイミングがすべてだ。緊張感が高まり、音楽がどんどん大きくなり、最悪の事態が迫り来る―そして
突然、緊張から解放される。
5月7日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、そんな瞬間を演出した。対立を煽り、極限まで緊張を高め、侵攻すると脅した
末に、潔く譲歩したのだ。
ウクライナ東部地域の独立を問う非合法な住民投票は延期されるかもしれないし*1、5月25日に予定されている大統領選挙は
実施されるかもしれない。そしてロシアは、ウクライナとの国境近くに配備していた軍隊を撤収することになるだろう。
(*1=この記事が出た後の11日、東部3州のうちハリコフは住民投票を見送ったが、ドネツクとルガンスクは予定通り実施し、
分離主義者たちが勝利宣言した)
■情報戦争に勝ちつつあるプーチン大統領
プーチン氏は、望んだものをほとんど手にした。クリミア併合は受け入れられ、厳しい経済制裁を免れ、支持率は急上昇。ウクライナ
に混乱をもたらしておきながら、その仲裁役を演じている。そしてプーチン氏は大した譲歩をしなかった。住民投票はどのみち、物理的、
組織的に不可能だった。
しかし、プーチン氏の申し出はキエフの中央政府に、ウクライナ東部、南部の自称「分離主義者」との対話を迫るだろう。3月に拘束
されたドネツクの「人民の州知事」、パーベル・グバレフ氏が交渉によって釈放されたことは、住民投票など行うことなく反政府派に
正当性を与える。
脅迫しておいて、結局後に脅しを撤回する行動は、ロシアが国内外で展開し、特にドイツで勝利を収めているように見える情報戦争
の最新エピソードだ。政治アナリストのキリル・ロゴフ氏いわく、クレムリンとの対決を嫌う西側諸国は、プーチン氏の譲歩を弱々しく
受け入れざるを得なかったという。
この3カ月間、ロシアのプロパガンダは、クリミア併合を正当化し、現実の状況を形作るために仮想現実を作り出した。
その筋書きは一貫しており、大雑把で、不誠実だった。いわく、西側が後ろ盾になっているファシストの軍事政権がキエフで権力を
握り、ロシア語を話す人々を脅した。素早い介入によってクリミアは救われたが、ウクライナの東部と南部は内戦に突入した。その結果、
オデッサでの衝突と火災で40人が死亡した。ロシアはこの一件をウクライナのファシズムの一例と呼んでいる。
「情報戦争の目的は、誰かに何かを納得させるということではなく、人々を戦いに引っ張り込むことだ」とロンドン・スクール・オブ・
エコノミクス(LSE)の研究者、グレゴリー・アスモロフ氏は指摘する。情報戦争は憎しみを煽り、体制側への支持を強固にする。
ベテランのリベラル派政治家、ボリス・ネムツォフ氏はブログでこう書いている。
「モスクワで一般市民の憎悪がこんな水準に達したことは記憶にない。1991年8月のクーデターの後も、1993年に(ボリス・)エリツィン
が議会と対立した後も、こんなことはなかった。敵意はテレビに煽られている・・・クレムリンは、人間が持つ最低の本能を助長して褒美
を与え、憎しみと争いを煽っている」
(>>2以降に続く)