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シー・シェパードが世界で“晒し者”に? 司法闘争激化、地中海のマルタ首相も提訴へ
2012.3.10 18:00
米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が世界の裁判所で訴えられ、法廷に引きずり出されている。
南極海の調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所は昨年12月、妨害の差し止めを求めて、
SSの本部のある米西部ワシントン州の連邦地裁に提訴。
一方、地中海の島国マルタの水産業者は、英国の裁判所に損害賠償訴訟を起こし、第1審で勝訴している。
そして、3月上旬にはマルタのローレンス・ゴンジ首相が、
SS代表のポール・ワトソン容疑者(国際指名手配中)を名誉毀損(きそん)で訴えると言い出した。(佐々木正明)
SSは、2010年から2年連続で、地中海に抗議船を派遣し、
夏季に解禁されるクロマグロ漁の妨害キャンペーンを展開している。
2010年6月には、マルタの水産業者「フィッシュアンドフィッシュ」が洋上に保有している囲い網を
SS抗議船によって切断され、さらに、抗議船の攻撃を防ごうとしたダイバー数人が負傷した。
ワトソン代表は当時、声明を出し、
「この業者が行ったことは密漁だ。クロマグロが絶滅する危機は、我々の生命や自由が冒される危機よりも重要なのだ」
と自らの行為を正当化しようとした。
ワトソン代表は今年2月、欧州メディア「ニューヨーロッパ」のインタビューに答え、マルタのマグロ漁業者は
「全くの違法な企業」と勝手に断定。さらに、「マグロ漁師から賄賂をもらった政治家の全面的なサポートによって支えられている」
と非難した。
マルタはマグロなどの畜養漁業が盛んで、日本に冷凍クロマグロを輸出している。
ワトソン代表に名指しで、汚職まみれの違法産業国家と非難されたことに黙っていなかったのは、誰よりも国家首脳だった。
3月上旬、マルタ国会で議員からワトソンの指摘について質問を受けたローレンス・ゴンジ首相は
「法的アドバイスを受けて、海外でポール・ワトソン代表を相手に名誉毀損(きそん)訴訟を起こすことにした」と断言した。
ワトソンの発言について、政府の司法関係者も
「われわれの産業は違法ではない。もし、ワトソン氏に賄賂の情報があるのなら、警察に訴えるべきではないか」と反論していた。
SSとマルタをめぐっては、まず先に、地中海で網を切られたフィッシュ社が司法闘争を挑んでいる。
フィッシュ社は2011年1月頃、約600匹のクロマグロなどの経済的損失を賠償させようと、
SSの拠点となっている英ロンドンの裁判所に提訴。結果、SSは全面的に敗訴し、約70万ポンドの賠償を言い渡された。
SS側はすぐに控訴したが、関係者によれば、第2審でもSS側がマグロ漁妨害の根拠とした
密漁の確証的な証拠を示せていない状態だという。
SSは今夏もマルタの業者を狙い撃ちしたクロマグロ漁妨害を行う恐れがあり、マルタ政府は顧問弁護士らと相談して、
彼らの動向をふまえ、訴訟方針を練り上げるとみられる。
一方、日本鯨類研究所が米シアトルの連邦地裁で起こした調査捕鯨妨害差し止め訴訟は、今年2月、
本訴と同時に訴えた仮処分申請が棄却された。
しかし、裁判長は、日本側、SS側双方の代理人の前で、SSの苛烈な妨害行為が
捕鯨船員の生命を危険にさらしている点を認めており、仮処分申請の棄却がSS側に有利に働いているとは言えない。
SSにとって、英国や米国での訴訟費用は多額になるとみられ、これだけでもSSの運営に圧力を加え、
妨害キャンペーン費を抑えるメリットがある。日本側はマルタ政府と連携を密にし、
SS封じ込めのための対策を一緒に協議することも有効な手段だろう。
産経ニュース
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