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9月20日と21日に開催された京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)2014では
、ファン向けの声優やアーティストのライブや物販が活況を呈している裏で、
ビジネスセミナーが粛々と行われていた。今回は20日に
「ビジネスサイドから見た『宇宙戦艦ヤマト2199』」と「テレビ東京のアニメ海外ビジネスの今」が開催された。
「ビジネスサイドから見た『宇宙戦艦ヤマト2199』」にはプロダクションI.G(以下、I.G)企画室執行役員の
郡司幹雄さんが登壇した。『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『2199』)のアニメ制作は
同社のグループ会社であるジーベックが担当しており、I.Gは製作委員会の主幹事である。
その中で郡司さんはビジネス周りの担当になっている。
本稿では、アニメビジネスの実情をうかがうことができる貴重な当セミナーの模様をご紹介しよう。
(中略)
74年当時、アニメの放送枠にはスポンサーとしてナショナルクライアントがつき、アニメが30%の視聴率を取る時代だった。
基本的にナショナルクライアントは「CMが単価いくらで何人に届くか?」や「何回CMを見せられるか?」だけを
CM出稿の判断材料としている。一方で、近年、アニメの年間平均世帯視聴率は
ジリジリと減っていて、05年には4.4%だったのが12年には2.8%にまで落ち込んでいる。
そこでアニメの製作方式として採られているのが、“製作委員会システム”である。
アニメの制作費については、「スポンサー企業が広告代理店とテレビ局を通してアニメ会社に支払う」
という流れがイメージされることが多く、アニメーターの薄給問題と絡めて、
“広告代理店やテレビ局の中抜き”がネットで非難の的となっている。しかし、これは誤解で、
ほとんどのアニメはスポンサーからのお金ではなくて、さまざまな企業からの出資が制作費となっている。
これを“製作委員会システム”と呼び、アニメをテレビ放送するため、製作委員会が
広告代理店を経由してスポンサー費用をテレビ局に支払うという、むしろ逆のベクトルになっている。
つまり、製作委員会システムでアニメを制作する際、出資社は制作費と放送枠料金、
2重のリスクを負っていることになる。コア向けのアニメはこのスキームで、製作委員会には
アニメ制作会社だけでなく、広告代理店やテレビ局が入っている場合もある。なので、採算を取るために
収益力の高いBlu-rayやDVDといった円盤(パッケージ)をファンが買ってくれることだけを考えている。
必然、ターゲットに合致しにくく費用の回収が困難な(≒円盤が売れない)作品は作られない傾向にある。
しかも、アニメ業界全体で見れば一部のヒット作の売り上げで資金を回収しており、
円盤の高い価格があるからこそ成立している、危うい状況に変わりはない。
また、子持ちのアニメーターは子供向けアニメを作りたいと言うようになるそうだが、
そういう円盤が売れない企画は通らない現状を説明。業界では、実際にパッケージを購入するファンは
30万人くらいなのではないかという話になっており、そもそも子供向けアニメではビジネスの俎上に載らないというのだ。
郡司さんはそれら上記の比喩として、現状のアニメビジネスを「お札で焼き芋を焼いているようなビジネス」と評した。
これは特需成金の風刺画「どうだ明るくなつたろう」が元ネタになっているが、アニメに関しては
特需でもなんでもなく、「お金があってもあっても足りない。1億(円)2億(円)すぐ吹っ飛ぶ」と、火の車に拍車がかかっているだけでしかない。
現在のアニメのパターンとしては、テレビシリーズは宣伝になっており、テレビ放送で人気が出たら映画にする。
ここでも郡司さんは、円盤による回収モデルを前提に「(大々的に発表される)『DVD化決定!』とか、
初めから出ることが決まってるんだけど」と、会場の笑いを誘っていた。
(>>2につづく)
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