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■徐々に成熟してきた日本のアニメ・漫画
70年代、テレビが日本で大量に普及したことで、日本の映画市場は大きな打撃を受けた。
映画大手製作会社の東映はディズニー式のアニメ映画製作から脱却し、いち早くテレビアニメ市場に
打ち出していく。この時期、手塚治虫が設立した虫プロダクションが倒産(1973年)したが、
これが多くのアニメ製作者たちにそれぞれ独自のアニメ製作会社を設立させることになった。
そして、多くの青年アニメ製作者がアニメ監督になるために奮闘していった。
これによって、アニメ市場には、幅広く、多種多様なジャンルの作品が登場することになり、
日本アニメ界に3つの黄金期を迎えた。最初の黄金期は「宇宙戦艦ヤマト」が築いたもので、
同アニメは1974年から1982年まで放送された。これ以降、多くのSFアニメや漫画が相次いで
誕生した。しかも、同アニメは複雑なストーリーや体系的な世界観と深い文学性を備えており、
日本のアニメ・漫画界に新境地を切り開いた。
第二の黄金期は、1982年の「超時空要塞マクロス」で、1987年まで放送された。この頃、人々は
視覚的効果を追求し、楽しむ時代であったため、アニメは視覚的な技術力の向上が求められた。
日本アニメの発展途上の時期はこの頃(1987年頃)に終わりを告げ、ストーリーや内容、アニメの
技術面などすべてにおいて非常に高い水準に達した。
第3の黄金期は1987年から90年代初めだ。アニメはこの時期、成熟の段階に入っており、
いくつかの優秀な作品が生まれた。この頃の日本のアニメ・漫画はすでに整った市場を形成すると
同時に、多くの観客を持っており、非常に成熟していた。
■現状に嘆く日本のアニメ界
日本のアニメ映画と漫画は各世代のアーティストたちの業績と継承を経た上で、今日のような
世界的に有数な業界にまで発展した。この業界で働く人たちはますます多くなり、多くの
アニメ・漫画ファンの若者たちは大きな志を抱いて、この業界で成功しようと業界入りしてくる。
その結果、良い面も、悪い面ももたらされたが、悪い面としては、アニメ・漫画市場に出回る作品が
玉石混合となってしまったことが挙げられる。
近年、インターネットが極めて発達したため、紙に印刷された漫画は大きな打撃を受けた。
読者は常にパソコンや携帯などで電子ブックを読み、紙を用いた本や雑誌の売り上げは
減少している。さらに、金融危機に加えて、多くの出版社が売り上げを追求するため、より多くの
場面で低俗趣味に迎合している。これらの低俗で娯楽性の強い漫画を出版することによって、
現在ほとんどの日本の漫画・アニメが70、80年代に持っていた文学性や思想性を失ってしまい、
多くの漫画が単純な娯楽作品になってしまっている。
アニメ・漫画は大衆が幅広く受け入れられる、迅速に人に伝える文化製品であり、だからこそ
アニメ・漫画は正面から文化を伝えるという重大な責任を負わなければいけない。
もし、単純な低俗趣味に迎合した娯楽作品に成り下がってしまったら、それはすでに健康的な
読み物ではなくなり、生命力も失われてしまうだろう。
(了)