13/04/06 17:58:05.00
3. HTML5に本腰を入れ始めた任天堂のNintendo Web Framework
一方のライバル、任天堂はハイパフォーマンス指向のPS4とは対局に本格的なWii U対応ゲームソフトをHTML5だけで開発できるNintendo Web Framework(以下NWF)を発表し、大きな話題を集めていた。
現状のWii UにもすでにHTML5に対応したWebブラウザが搭載されているが、NWFはまったく新しくWebブラウザを構築し、GPUベースの描画など、パフォーマンスの最適化を行うと同時に、
複数のディスプレイへの対応(テレビ画面とWiiU GamePadの二画面に別々の情報を表示できる)や、Wiiの多彩なゲームコントローラへの対応、Miiverseへの対応など、
本格的なWii U対応ゲームを開発するのに必要なすべての機能が提供されたフルセットの環境が用意されることになる。
パフォーマンスも上々で、実際に任天堂ブースではNWFで作られたアクションゲームをWiiリモコンで操作するデモが展示されていたほか、今後も積極的な開発者の誘致を行って行くという。
さらに課金プラットフォームまでをもHTML5アプリケーション向けに提供していくというから、これまでの任天堂の方針からは考えられないような自由度の高いマーケットプレイスを想定していることがうかがえる。
ゲーム関係のジャーナリストたちもNWFには非常に注目しており、今後ライトゲームを中心としたものが、HTML5に本格以降していく可能性について議論する姿が会場のあちこちで見られた。
4. SCEと任天堂、開発者の底辺を広げるためのオープンプラットフォーム戦略に明暗
今回のGDCでは、どうやらデベロッパをより多く取り込むために、ソニー・コンピュータエンタテインメント (以下SCE)、任天堂といったプラットフォーマがどのようなスタンスをとるか明確に浮き彫りにされた形だ。
これまで、SCEは初代プレイステーションのころには「ネットやろうぜ」として台数限定ながら一般ユーザーがPS用ソフトの開発ができるようにしたり、PS2ではLinuxを動作できるようにしたりと、ホビイストやギークたちの心をくすぐるような戦略を繰り返し行ってきた。
昨年からひっそりとスタートしたPlay Station Mobile(以下PSM)では、簡単な登録で誰でもPSM用のゲームを開発できるようにしたり、マーケットプレイスを設置したりしてインディゲームのデベロッパの取り込み施策を行ってきた。
しかしながら、PSMはいまだにうまく離陸しているとはいえず、ラインアップも貧弱なままである。
これがSCEの大きな頭痛のタネとなっていることは否めないが、一方で、インディゲームはオマケであり、SCEの主力はあくまでAAAタイトルであると割り切った姿勢とも見て取れる。
一方、これまでインディゲーム向けにはUnityのサポートくらいしかしてこなかった任天堂が、ここにきてNWFの投入を発表し、大きな話題を呼んでいる。
WiiUの販売不振はあるものの、他機種にはないユニークなコントローラやゲーム体験の特徴を生かしたゲーム開発のハードルを大幅に下げることによって、市場の活性化を模索しているようだ。
一見、SCEのPSM戦略と任天堂のNWFは似たものに見えるが、開発者目線でみた場合にはこの二者の狙いも目的も大きく異なる。
(中略)
PSMやUnityはどちらかというとセミプロ向けであり、きちんとした作品に仕上げるには専門知識が必要である。
一方、NWF(HTML5)やiOS、Androidはどちらかというとアマチュアにも広く門戸を開いている、専門知識がなくてもプログラミングができるようなハードル敷居の低さを売りにしている。
この二者の違いは、結局、作品を生み出すクリエイターの分母として効いてくる。
セミプロを1とすれば、アマチュアは最低でも100倍は存在するだろう。そこそこハイクオリティなゲームを創り出すセミプロがアマチュアでも扱える環境で本気を出すこともあり得る(iOSやAndroidはそうなっている)。
絶対的な物量による多様性の確保が、アマチュアを対象に含めたNWFのようなプラットフォームの大きな戦略的意図であり、それに比較するとPSMのようにセミプロを前提としたプラットフォームの提供はそのままでは効果的とはいい難い。
PSMよりはUnityの方が作りやすいし、配信先の自由度が高いからだ。
NWFが今後どのように発展して行くかは未知数だが、今回のGDCの段階で大きな話題をさらったのはNWFであり、PSMは影が薄い状態だった。
今後PS4でどう巻き返しを図るのか、注視していきたい。
(抜粋)
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