12/04/19 19:01:03.50
クトゥルフ神話がブームである。
……ごめん、ウソ。ちょっと話を盛りました。正確にはアニメやライトノベル、エロゲーのユーザーの間で局所的に、少しだけ盛り上がっている。
「そもそもクトゥルフ神話って何?」という方も日刊サイゾー読者には多い気がするので、ごくごく簡単に解説しよう。
クトゥルフ神話とは、H・P・ラヴクラフトという20世期初頭に活躍した作家の怪奇小説に登場する神々の名前や地名を用いて、
彼の作家仲間たちが作り上げた架空の神話体系のことだ。「架空の神話体系」というのはつまり、どこかに信者がいたり、なんらかの民族と関わりがあったりしないということ。
これだけじゃなんのことかわからん人は、
「藤沢周平の死後もほかの時代小説作家が海坂藩ものを書き続けて、『海坂藩史』というひとつの体系ができました」みたいな事態を想像してみれば、
なんとなーくイメージはつかめるのではないかと。もしくは、日本のサブカルチャーでいちばん雰囲気が近いのは『機動戦士ガンダム』。
最初のテレビシリーズを監督した富野由悠季が関わっていなくても、「宇宙世紀」や「モビルスーツ」といった単語や世界観を共有するシリーズ作品がたくさんある、
というようなことを思い浮かべてもらえれば、ざっくりと雰囲気がつかめるのではなかろうか(もちろん、厳密にはどちらのたとえも違うのだけれども)。
『斬魔大聖デモンベイン』という、クトゥルフ神話を作品世界に取り入れつつ、美少女熱血ロボットバトルを描くというエロゲー(!)が2003年に発売されたことで、
日本ではある意味、発祥の地であるアメリカ以上に、クトゥルフ神話に関してやりたい放題な空気が醸し出されてきた。
この4月より放送が始まった『這いよれ!ニャル子さん』(テレビ東京ほか)は、そうした「なんでもあり」のカオスな土壌から生まれてきた作品のひとつだ。
原作はGA文庫からシリーズ刊行中の人気ライトノベル(作:逢空万太、絵:狐印)。平凡な高校生・八坂真尋を保護するという名目で地球にやってきた、
「美少女姿のニャルラトホテプ(クトゥルフ神話に登場する強大な力を持つ神の一柱)」=「ニャル子さん」が巻き起こす騒動を、
マンガ・アニメ・特撮のパロディを織り交ぜつつコミカルに描いた作品だ。アニメーション制作を『ToLOVEる』『かのこん』『れでぃ×ばと!』『えむえむっ!』など、
明るくてちょっぴりエッチなアニメを作ることには定評のあるジーベックが担当しており、健康的なお色気&密度の高いパロディという原作の魅力を見事に映像化している。
ニャル子さんを演じる阿澄佳奈のハイテンションな演技もポイントが高い。オタク気質でアニメやマンガ、ゲームには反応しまくり、
隙あらば男子高校生・八坂真尋に性的な接触を迫るニャル子さんなのだが、イヤらしさや不潔さ、うっとうしさを感じさせないのは、
阿澄の声の存在感によるところが大きいのではなかろうか。彼女がメインボーカルを務めるユニット「後ろから這いより隊G」によるOP主題歌「太陽曰く燃えよカオス」も、
「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」のコーラスが印象的なお祭り感溢れる名曲で、これまた素晴らしい。
コリン・ウィルソンやスティーブン・キングといった巨匠にも愛され、海外では高い認知度を誇るクトゥルフ神話だが、日本においては、
1970年代初頭から80年代にかけて、ジャンル小説の読者やヤングアダルト小説の読者の間で瞬間風速的な盛り上がりを見せはしたものの、
一般的な知名度を得るには至ってこなかった。ところが、『ニャル子さん』第1話の放送直後には、創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』第1巻がAmazonランキングを急上昇。
ひょっとしたら、ここから、日本にも本格的なクトゥルフ神話ブームが巻き起こるのかもしれない。アナタも乗り遅れないうちに、
クトゥルフの呼び声に耳をすませるべき……ああ……私にも聞こえる! 窓の外に! 宇宙的で冒涜的な恐怖の足音が!
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