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では、前述の社説のどこが間違っているのか? エルピーダは何を間違えていたのか?
例えば、エルピーダが世界最小のチップサイズのDRAMを設計開発し(倒産直前にそういう報道もあった)、
その歩留まりが100%だったとしよう(実際にサムスンより歩留まりが高いという噂もある)。しかしこれだけでは
不十分であるし、それどころか無闇にこういった開発や改善をしたからこそ倒産したのである。
それは一体どういうことか?
歩留まりは高いほどいいのか?
エルピーダからサムスンに転職した取締役X氏の話を紹介しよう。2005年、私が同志社大学の教員だった時に
インタビューした。X氏の話により、謎は解けるであろう。
当時、エルピーダの歩留まりは98%、サムスンの歩留まりは83%であった。その数字を見てアナリストたちは、
エルピーダの方が技術力は高いと評価した。しかしX氏は、「そのような評価は全く意味がない」と言った。
その理由は以下の通りである。
第1に、(当時最先端の)512M-DRAMのチップ面積は、サムスンが70平方ミリ、エルピーダが91平方ミリだった。
したがって、30 センチウエハから取得できるチップ数は、歩留まり83%のサムスンが約830個、
98%のエルピーダは約700個となり、低歩留まりのサムスンの方が多数DRAMを取得できる
(ここまでは社説の言う通りかもしれない)。
第2に、歩留まりを60%から80%に上げるのは比較的簡単だが、80%から98%に上げるためには
それとは質の異なる多大な(超人的な)努力が必要となる。つまり、人、金、時間など膨大なコストがかかる。
サムスンは歩留まり80%以上なら十分にビジネスが成り立つので、それ以上の歩留まりを追求する必要がないし、
やらない。逆に「ほとんどNEC」のエルピーダは、ここに膨大なリソースを投入していたわけだ。
当然、莫大なコストがかかっている。
第3に、サムスンは、現在量産しているDRAMのシュリンク版について、4世代同時開発を行っている。
つまり、現在量産しているものよりさらに小さなDRAMが、すぐ後に控えている。したがって、現在の量産品の
歩留まり向上に必要以上にコストをかけず、よりチップサイズの小さなDRAMの量産立ち上げを優先する。
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