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産経抄 4月30日
「イングランドチームは長らく成功という名の結果を出せていない。グレ
イト・ブリテン全体から精鋭を選りすぐれば、まだしもその可能性が出て
くるのではないか」。サッカーのヨーロッパ選手権の1次リーグで敗れた
2000年、当時のストロー内相はこう嘆いた。
▼もっとも、スコットランド代表監督の反応はにべもない。「スコットランド
にとってはいい話ではない。他も同じだろう」。東本貢司(ひがしもとこう
じ)さんの『フットボールと英語のはなし』(三省堂)にあるエピソードだ。
▼英国がワールドカップなどの国際大会に「4カ国」に分かれて出場す
る事情は、外からはわかりにくい。もともと、イングランドがウェールズ
やスコットランドを併合して、現在の「連合王国」に至った歴史的経緯が
ある。
▼北アイルランドを含めた「各国」は、独自の文化を守り続けてきた。
政治経済の分野ではひとつの国として振る舞うものの、サッカーとなる
とそれぞれのナショナリズムに火が付いてしまう。
▼それゆえ東本さんが「日の目を見る可能性は薄い」と断じた「ストロー
案」が、ひょんなことから実現する。ロンドン五輪の主催国として、出場
権を得たからだ。英国代表が出場するのは、男子ではローマ五輪以来
の52年ぶり、女子では史上初だという。
▼イングランド色の強いチームになるのは確実とあって、それ以外の
地域のファンから猛反発の声が上がっている。折しもスコットランドで
は、英国からの独立をめぐる議論の真っ最中だ。2年後には住民投票
が行われる。ユニオンジャック(英国旗)は、「各国」の国旗を組み合わ
せてできている。果たして代表チームの応援のために、はためくのだ
ろうか。