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産経抄 4月27日
短歌には、古今東西の有名人の名前を詠んだ作品が意外に多い。歌人
の小池光さんの新著『うたの人物記』(角川学芸出版)は、そんな短歌を
テーマにしたエッセーだ。「現役の政治家の名前などもっとも歌にならな
い」とことわりながら、岡井隆さんの作品を引く。
▼〈小沢一郎しづかに崩れゆくときの数の論理の美しきかな〉。平成10
年に出た歌集『ウランと白鳥』に収録されている。「崩れゆく」のは、前年
内紛の果てに解党した新進党であろう。あれから15年、小沢一郎民主
党元代表(69)は、党員資格を失っているものの、今も党内最大勢力を
率いる立場だ。
▼きのうの無罪判決を受けて、小沢氏の周辺では、ますます復権ムード
が高まっている。ただ判決の内容は、弁護側がいうような「完全な無罪」
とは程遠い。
▼資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金収支報告書への虚偽記載
について、裁判長は、小沢氏が元秘書から報告を受け了承していたと認
定した。つまり、「知らぬ存ぜぬ」を通した小沢氏はウソをついたことにな
る。巨額の財産についての疑惑も、残ったままだ。
▼「勝負勝負といいながら肝心のとき兵を引いて戦線離脱する癖がある
ように見えて、観客としてはいつも歯痒(はがゆ)い」。得意の政局の場面
でも、小池さんの評価は厳しい。いや、多くの観客はすでにうんざりしてい
るのではないか。
▼経済学者の浜矩子さんは、月刊誌『WiLL』6月号で「小沢氏のことを
『選挙上手』や『剛腕』などと考えること自体が幻想」と斬って捨てている。
小沢氏を擁護、批判どちらの側でも大騒ぎするメディアが、「しづかに崩れ
ゆく」べき政治家の延命に、手を貸しているのかもしれない。