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【産経抄】4月13日
「憎まれっ子世にはばかる」。北朝鮮の振る舞いを表現するのに、
これほどふさわしいことわざはあるまい。「永遠の総書記」の
遺訓だか、朝鮮労働党の第1書記に就任した金正恩氏への祝砲だか
知らないが、一両日中にも「人工衛星」と称する長距離弾道
ミサイルが発射される。
▼これまで2回打ち上げに失敗した北朝鮮の技術には、まったく
信用がおけない。猛毒の燃料や破片が落ちてこないのか、飛行
コースの下で暮らす住民は不安でいっぱいだ。自制を求める
国際社会の声に、北朝鮮は聞く耳をもたない。
▼「はばかる」とは普通、遠慮する様子を指す。国民にまともな
食料を与えられず援助頼みの国には、こちらがふさわしい。
「憎まれっ子」と結びつくと正反対の意味になるのは、
「はびこる」から転じた誤用との説がある。
▼ミサイル問題で、北朝鮮に「誤用」を許しているのは、制裁強化に
向けて関係各国の足並みが揃(そろ)わないからだ。今回も中国と
ロシアは、穏健な対応を主張している。日本国内でさえ、いまだに
北朝鮮を擁護する声がある。
▼「『北朝鮮脅威論』は、日米軍事同盟の変質強化に利用されている」
「従軍慰安婦は、北朝鮮の拉致と同じ犯罪だ」。いずれも立派な
肩書をもつ学者の意見だから、驚いてしまう。
▼〈地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつゝ秋風を聴く〉。
きょう没後100年を迎える石川啄木による、韓国併合批判の歌として
知られる。この歌を引用して、朝鮮半島の分断は日本の植民地支配の
せいだと主張する人もいる。貧困のつらさが骨身にしみていた啄木は、
熱烈な愛国者でもあった。国民の生活を犠牲にして、先軍路線を
突き進む北朝鮮の暴挙を許すはずがない。