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【産経抄】4月12日
「何でも好きな褒美(ほうび)をやる」。機嫌のいい豊臣秀吉に
家来の曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)が願い出た。「では、
今日は米1粒、明日は2粒と、日ごと倍の米を100日間頂きとう
ございます」。欲のなさに驚いた秀吉は、やがて膨大な量になる
ことに気づく。
▼中学校の数学の教科書にも載っている、有名なとんち話を持ち出す
までもない。数学は、人生のさまざまな場面で役に立つ。わかっちゃ
いるけど、やっぱり敬遠してしまう。小欄を含めた世の数学オンチたちに、
猛省を促すような記事をきのう見つけた。
▼大学入試で数学を受験科目に選んだ文系学部出身者は、
選ばなかった人に比べて年収が高く、大企業に就職する比率が高い。
京都大学などの研究者グループが行ったインターネット調査で、
こんな結果が明らかになった。理系学部出身者に高校時代の得意
科目を聞く調査では、生物や化学より、論理性が高い物理と答えた
人にも同じ結果が出た。
▼調査対象が20~70代の男女と、広い年齢層にまたがっている
点に留意する必要がある。年収はともかく、数学を得意とする今時の
「賢い」若者なら、大企業への就職イコール人生の勝者といった、
単純な発想はしないはずだからだ。
▼「たとえ民主主義であっても、民主主義の敵が言論の自由を
使って民主主義を破壊するのは論理的ではないのだ」。政治の本では
ない。『数学は世界を変える』(ソフトバンククリエイティブ)という
数学入門書にある言葉だ。
▼第二次世界大戦の最中、米国で刊行されて以来読み継がれ、
昨年邦訳が出た。著者のリリアン・R・リーバーは、数学は出世の
道具どころか、正しく用いれば世界を救うと主張している。
若者よ、数学に励め!