12/04/11 06:02:12.88 Mybt2QTYP
産経抄 4月11日
花見には早かったが、京都の仁和寺を訪ねた。平安時代に建立された
名刹(めいさつ)だが、兼好法師の『徒然草』に出てくるちょっと「間抜け」
な「仁和寺の法師」たちでも知られる。近くの双ケ岡(ならびがおか)に庵
を結んでいた兼好には彼らの「内部情報」が、よくもたらされたようだ。
▼中でも有名なのは初めて石清水八幡宮参詣に行った法師の話(第52
段)である。男山の麓にある八幡宮付属の社寺を拝んで帰り満足げだっ
た。周りの人には「参拝した人がみな山に登っていたが、(私は)神へ参
るのが本意だから登らなかった」と語る。
▼実はその山の上に肝心の八幡宮がある。それを誰にも聞こうとしない
からトンチンカンに終わった。兼好は「先達(せんだつ)(案内人)はあら
まほしき事なり」と、サラリ皮肉るが、三木紀人氏監修の『方丈記と徒然
草』は「何事にも独善的な振る舞いを暗に戒めている」という。
▼鳩山由紀夫元首相のイラン訪問も「独善的な振る舞い」に終わった。
この時期に行けば、対イラン包囲網の足並みを乱すことになるとして、
外務省などが再三、訪問中止を要請した。しかし鳩山氏は聞く耳を持た
ずに訪問を強行、大統領との会談を行った。
▼案の定、イラン側は鳩山氏が国際原子力機関について「二重基準で
公平でない」とイラン寄りの発言をしたように報じた。本人は否定したが
後の祭りだ。しっかりイランに利用されたわけで、全力でこれと対決して
いる国際社会からつまはじきされかねない。
▼仁和寺の法師の場合は『徒然草』で冷やかされるだけですんだ。本人
も反省したかもしれない。だが元首相のトンチンカンな独善は一向にな
おらない。一刻も早く政界を去っていただくのが、国のためである。