産経抄ファンクラブ第173集at MASS
産経抄ファンクラブ第173集 - 暇つぶし2ch874:文責・名無しさん
12/03/13 06:33:54.02 qa/zjCb40
【産経抄】3月13日
 誰もが納得する選考基準がない、芥川賞と直木賞の不条理について、
2カ月ほど前コラムに書いた。それをおそらく誰よりも感じて
いたのが、芥川賞の候補に4回挙がり受賞しなかった吉村昭だろう。
 ▼昭和37年の候補の際は、受賞決定の報を電話で受けている。
早速会場に駆けつけると、若い編集者が沈痛な顔で頭を下げた。
一時は吉村作品を含めて2作受賞に決まっていたものの、欠席
していた選考委員の一人に問い合わせた結果、もうひとりの
作家の受賞だけになったというのだ。
 ▼これほどの不手際は珍しいにしても、似たような不条理は
世の中に数多(あまた)ある。五輪のマラソン日本代表選手の
選出もそのひとつだ。いくつかの選考レースは、それぞれコースの
状態や天候など条件が違う。順位かタイムか、重視する観点に
よっても評価が変わってくるから、トラブルが絶えない。
 ▼最後まで選考がもつれたロンドン五輪の男女の代表選手がきのう、
ようやく発表された。注目の公務員ランナー、川内優輝選手(25)は、
やはり選に漏れた。本人は先日の東京マラソンの惨敗で、五輪への
未練を断ち切っていたようだ。来年の世界選手権、あるいはもっと
先を見据えて走り続けてほしい。
 ▼「受賞が必ずしも将来のためにならない作家っているでしょう。
僕もそうなったと思うんだ」。吉村は後年、ある対談で語っている。
確かに候補になった作品とは路線の違う『戦艦武蔵』で世に出て
そのまま大作家への道を歩んだ。
 ▼もちろん多くの作家は、受賞をきっかけに飛躍を遂げる。出場を
勝ち取った選手たちの、本番での奮起を期待したい。もはやお家芸と
いえないマラソンだが、日本人の意地をみせることはできる。


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