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産経抄 3月5日
「大阪の女性は、『お姉さん』と呼びかけると、必ず振り返る」。こんな
「都市伝説」を検証するテレビ番組があった。「お姉さんというのはい
つからですか」。リポーターの質問に対する、実際に振り返った年配
の女性の答えにはまいった。「50歳から『お姉さん』、その前が『お嬢
さん』」。
▼フランスでお嬢さん(マドモワゼル)といえば、年齢は関係がない。
あくまで未婚女性に対する敬称である。英語圏の公式の場では、「ミ
ス」(未婚)と、「ミセス」(既婚)の代わりに「ミズ」の使用が広がってい
るのに対し、「マダム」(既婚)との区別は厳密だ。
▼公式文書はもちろん、銀行口座の開設や不動産の売買などでも、
どちらかを明確にしなければならなかった。ところがフランス政府は
このほど、「マドモワゼル」を公文書で使わないよう、各省庁や自治
体に通達を出し、民間企業にも呼びかけた。
▼今後女性に対する敬称は、「マダム」に統一される。「ムッシュ」だ
けの男性と、同じ権利を求める女性団体の主張を受け入れたものだ。
今や新生児の半分以上が未婚のカップルから生まれるという国では、
必然かもしれない。
▼ただ、惜しい気もする。フランスやパリへのあこがれが今よりずっ
と強かったある年代以上の日本人なら、なおさらだろう。長く小紙パ
リ支局長を務めた山口昌子さんによると、「マドモワゼル」という美し
い響きを愛し続けるフランス人もまだ少なくない。
▼生涯独身だったココ・シャネルは常に「マドモワゼル・シャネル」だ
ったし、離婚をしようが出産を何度しようが、映画の終わりに出るタ
イトルでは、「マドモワゼル・カトリーヌ・ドヌーブ」と表示されるそうだ。