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【産経抄】2月22日
自虐的言動というのは、ほめられたものでない。だがこれが
上質のユーモアで包まれると、思わずほおが緩み、肩のひとつも
たたいてあげたくなる。先日、本紙に載った中国版ツイッターでの
中国若者による台湾への「対抗心」がそうだ。
▼それによると、若者は台湾の友人に自慢された。「今朝
みんなで投票に行ってきたよ。夜には誰が国家指導者になるか
分かるのさ」。だが私は声を大にして言う。「明日の朝、
大陸で投票が行われるとしても、僕らは今日の段階で誰が
国家指導者になるか知っている」。
▼明日の夜まで待つ必要なんかない。だから「台湾より
ずっと先を行っている」という。台湾では国をあげ熱狂した
総統選で、馬英九氏が再選された。それなのに「大陸」では
国民のあずかり知らぬところで、習近平氏のトップ就任が
決まっている。そのことを自嘲しているのである。
▼習氏は今月、米国を訪問したさい、もう「最高指導者」
扱いだった。一党独裁の国ならではのスムーズな権力移譲に
見える。だが実態はそう簡単なことではない。大都市の
重慶などで、胡錦濤現国家主席の勢力の巻き返しが
始まっているらしいからだ。
▼重慶では習氏と同じ元高級幹部の師弟でつくる「太子党」の
中心人物、薄煕来氏の腹心が失脚した。後任の市公安局
トップに就任したのが、胡錦濤氏直系の共青団のホープだ。
習氏の盟友である薄氏の力が弱まり「習近平政権」にも影響するという。
▼文化大革命を持ち出すまでもなく、きれいごとの裏で
凄(すさ)まじい権力争いを繰り返してきたのが一党独裁の
現実だ。日本人が見習うべきは、かの若者の冷めた視線である。
「習近平時代来る」などと浮かれることではない。