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【産経抄】2月16日
織田信長が時代の常識にとらわれずに活躍できたのは、実は
女だったからではないか。佐藤賢一さんの歴史小説『女信長』は、
そんな奇想が基になっている。「楽市楽座」を推し進めたのも、
「『ものが高い』 それは女の感覚では許されざる悪だった」からだという。
▼男だって、ものが安い方がいいに決まっている。数年前までは、
物価が下がるデフレは必ずしも悪くない、と公言する識者もいた。
しかし、デフレが10年以上続く日本では、企業の業績が軒並み
悪化し、物価以上に賃金が下がり、失業が増え続けている。
さすがにそんな楽観論は影をひそめた。
▼「物価の番人」といわれる日本銀行がとうとう、物価が
年1%上がるまで、強力な金融緩和を推進する方針を明らかにした。
デフレ脱却への意思を明確にして、事実上のインフレ目標を
設定したと受け取られている。
▼もっとも、日銀がいくら資金を市場にじゃぶじゃぶ流し込んでも、
家計や企業が抱え込んでしまえば効果は上がらない。デフレとは、
「経済の冷え症」ともいえる。寒さの厳しい今の季節、成人女性の
2人に1人が悩んでいるといわれる冷え症は、血液の流れの滞りが
主たる原因らしい。
▼しょうがをたっぷり使った料理や、ぬるめのお湯に長めにつかる
入浴法など、さまざまな対策が紹介されている。数年前の小紙の
取材にある鍼灸(しんきゅう)師が、のんきな暮らしが、何よりの
冷え症対策になる、と語っていた。イライラ、クヨクヨすればするほど
体の免疫力が下がり、冷えやすい体になるという。
▼デフレ下の日本も同じ。国防や将来の社会保障に対する不安が
払拭されない限り、とてものんきに財布のひもをゆるめる気分にはなれない。