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2012.2.1 03:31 [産経抄]
昭和29年4月13日の朝日新聞に「『耐乏』強いられる小学生」という記事が載っている。この年「大量の一年
生」が入学してきた。このため全国の小学校は、先生も教室もみんな足りなくなった。その困惑ぶりを伝えてい
るのだ。
▼当時文部省の最低基準は1教室50人だったが、鳥取で最高77人になるなど70人学級も現れた。栃木の
宇都宮では「前列の生徒は先生のハナのアナをのぞきながら勉強」で、姿勢が悪くなるから1週間ごとに席を
かえた。裁縫室や職員室、果ては校長室まで教室に明け渡された。
▼今の恵まれた学校からは信じられない光景である。「大量の一年生」とは昭和22~23年生まれ、団塊の
世代のトップランナーたちだ。全国で255万人余りと前年より約55万人、前々年よりは110万人も多い。行政
だけでは混乱は避けようもなかった。
▼その「一年生」たちが昨年あたりから今度は「年金生活」に入りつつある。日本の人口が50年後には4千万
人以上減るというショッキングな厚生労働省の推計が発表された中、年金などその社会保障の問題は深刻だ
。人口的に突出しているだけで、何かと揶揄(やゆ)されることも多い。
▼むろん団塊世代はいつも過酷な競争を強いられながら経済成長を支えてきた。「そろそろ年金でゆっくりし
たい」という気持ちはわかる。一方で今、2・8人で高齢者1人を支えている若い人たちが「なぜ上の世代のため
に」と言いたくなるのも理解できる。
▼だがそんな不毛な世代間論争をしているときではない。団塊世代はなるべく年金の世話にならない道を考
えたい。社会もその長年の経験を生かす仕事の場を用意すべきだ。そうしない限り日本の明日はないと思う。