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「簡単な手術と言われたのに…」術後悪化の一途
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高難度の腹腔鏡を使う肝臓切除手術の後、患者8人が死亡していた前橋市の群馬大病院。
県内外から患者が集まる北関東の医療拠点で、手術の不適切な実施態勢が明らかになった。
病院は院長らが記者会見して謝罪した。
病院は遺族への説明を始めたが、遺族の中には、手術後から病院側への不信感と疑問を
抱き続けた人もいる。
「大変申し訳ありません」。群馬県庁で行われた記者会見の冒頭、野島美久病院長らは
深々と頭を下げた。
今回の問題では、安全性や有効性が確認されていない手術が病院の管理部門に申請されないまま
多数行われた結果、8件もの死亡例が積み重なった。
報道陣から「ここまで増える前に、病院として食い止められなかったのか」と問われると、
「しかるべき手続きが取られておらず、把握が遅れてしまった。(申請など)執刀医らの認識も曖昧だった」
と唇をかんだ。
8月末から調査委員会が調べを進める中で、問題点が次々と明らかになっている。カルテや患者に渡した
同意書などからは、手術のリスクや、抗がん剤治療など他の選択肢について説明した形跡がみられないという。
永井弥生・医療安全管理部長は「もっと丁寧に説明すべきだが、残された文書を見る限り、それがなされていない」
と話した。
◇
「簡単な手術と言われ、夫は望みをかけた。それなのに」。群馬大病院第二外科(消化器外科)で、肝臓がんの夫が
腹腔鏡手術を受けて死亡した60歳代の女性は、そう打ち明けた。
女性によると、手術前、担当医から「腹腔鏡手術なら2週間で退院できる」と言われ、「早く退院できるなら」と応じた。
しかし、手術の説明は専門用語が多くて理解しづらく、リスクについて説明を受けた記憶はない。
「あの時は、わからなくても、夫の病気を治すことで頭の中がいっぱいで、先生を信じて任せるしかなかった」と振り返る。
術後、容体はどんどん悪化。担当医は多忙で、夫の経過について説明を求めても対応してもらえないことが多く、
女性は不信感を募らせていった。