12/01/26 15:21:46.38 XOMnPcFg0
ただでさえ寒い上、大雪に見舞われたその日のロンドン。
ベイカー街の片隅にあるレストランで殺人事件が発生した。
「ここですよ、ホームズさん」
ロンドン警視庁のレストレイド警部がシャーロック・ホームズを店内に招きいれた。
店内は暖炉が赤々と燃えていて、夏のような暑さだった。あっという間に汗が噴き出し、
ホームズもレストレイド警部も着ていた外套を脱ぐくらいの暑さだった。
「…こちらがこの店の店主です」
「…それで、その事件が起きた状況というのは?」
ホームズが店主に聞いた。
「ええ、それがですね…。お客さんが店の片隅で食事をしていた時、一人の男が店に入っ
てきたんですよ。それでその男がいきなりそのお客に向かって拳銃を撃って…。弾丸はお
客さんの眉間に命中してほとんど即死でしたよ。ありゃプロの殺し屋の仕業ですな」
「…その、被害者を撃った男はどうしたのかね?」
「それが…、被害者を撃つと何も言わずにそのまま立ち去ってしまったんです」
「その男を見た、という目撃者はいないのかね?」
「それが…、時間が丁度午後3時頃だったというし、この天気でしょう? 店の中に他に
客はいなかったし、外も人通りがまばらだったんですわ」
店主に代わってレストレイド警部が言った。
「なるほど、他に目撃者はいない、ということか…。それで、その男の特徴は?」
「それがあっという間の出来事だったんで…。なんでも眼鏡をかけていた、ということ
だけは覚えているんですが…」
「…なるほど、眼鏡ね。…となると、話を聞いた限りでは私はあなたの言ってることを信
用することは出来ませんね」
さて、名探偵シャーロック・ホームズが「店主の話は信用できない」といった根拠は?