13/03/17 21:14:35.50 WSQkZFPO0
「晩酌やっかぁ」
ス-ツを脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれの部屋着を整えた。机の前に立ち股を開く。
既に胃袋を空かし、俺の胃は俺の乾杯を待つ。
身体を横にして鏡に映すと、前垂れを持ち上げて、ビール腹がそこにあった。
「俺の生中一本の晩酌だぜ」声に出していう。
「男はやっぱひとり酒」
やおら冷蔵庫の中から、ズルヒエ状態の銀色一色を取り出す、手に力をたっぷり取り、逆手でプルタブをこね回す、
「カチッ、シュアッ」音が俺のアル中枢を更に刺激する。
「すきっ腹たまんねぇ」嚥下に合わせて、喉を上下させる。
「男の晩酌にゃあこれだよ」焼き鳥を咥え込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「ネギマ、ネギマ」「通のレバー」
頃合いをみて二本目を引き抜く。俺は自分のこの格好が好きだ。
白い泡だけが口元に残り、ぶらぶらのきゅうりのバックに、ラー油垂らして、中を和え、左手で漬物引っ張り、右手でヌルヌルとメンマを扱く。
鏡の中のの俺は、日本一の伊達男になっていた。
「ちきしょう誰かに見せてやりテェよ」最高潮が近付くと、いつもそう思った。ビールをもう一度効かせ、チーたらを追加すると、男へ向かってまっしぐらだ。
「男になってやる」「仕事一本のほんまもんの男」
「うりゃ、そりゃ」「カシュッ、プシュッ」しぶきを飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」胃の奥から、激しいうねりが起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
-だしてぇ- -もっと飲みてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、それに備える。奔流は堰を切ろうとしていた。
「男一匹 ! 」「おえっ」
口を押し分けて、嘔吐物がしゃくり出される。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る