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気候変動枠組み条約ワルシャワ会議(COP19)は、すべての国が参加する温室効果ガスの削減ルールを
作ることに合意した。だが日本が示した低い削減目標は、世界をがっかりさせたままである。
先進国により重い責任を求める途上国、途上国にも応分の義務を課したい先進国。両者を隔てる溝は
いまだに深く、そして暗い。
昨年のカタール会議(COP18)で二〇二〇年までの延長が決まった京都議定書では、先進国だけが
温室効果ガスの削減義務を負う。しかし削減義務のない中国が今や世界一の排出国だし、インドは第三位。
一昨年の南アフリカ・ダーバン会議(COP17)は、一五年までに、途上国を含むすべての国が削減に
参加する新たなルールを作ることで合意した。
一五年のパリ会議(COP21)に向けて可能な限り交渉を進展させるのが、ワルシャワの課題だったと
言っていい。
COP19では、一五年に決める二〇年以降の新しいルールについて、京都議定書のように、削減義務を
各国に割り振るやり方ではなく、各国が自主的に削減目標を提示して、全体でそれを評価、検証しながら、
削減を進める方式への転換を決めた。京都議定書から早々と離脱した米国提案の国別決定目標方式に
基づくものだ。
次のルールにすべての国が参加する、という合意はできた。だが、参加の仕方はあいまいなままである。
途上国側の強い反発で、すべての国が目標や義務を持つのではなく、削減に「貢献」するという表現に
とどまった。
自主的な削減活動にも、実効面での不安は残る。メキシコ・カンクン会議(COP16)の合意に基づいて、
先進国は二〇年までの削減目標を提示している。しかし、全部足しても、温暖化の被害を食い止めるには、
八十億から百三十億トン不足する。米国の年間排出量に近い量である。
地球と人類の危機回避のために埋めなければならない溝は、南北問題だけではない。
日本は、途上国が気候変動の「損失と被害」に対し、三年間で一兆六千億円の支援を表明した。しかし、
追随する声はない。
来年恐らく会議の動きは加速する。日本が発言力を強めるには、原発停止を口実にするのはやめて、
技術大国にふさわしい、野心的かつ責任ある削減目標を世界に提示するしかない。南北ともに、それに
異存はないはずだ。
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