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自民党が発表した参院選の公約の冒頭に、安倍首相はこうつづっている。
日本を覆っていた暗く重い空気は一変しました―。
本当にそうだろうか。
出足こそ好調だったアベノミクスだが、このところの市場乱調で先行きには不安が漂う。
首相の認識は楽観的すぎる。
個別の政策目標でも、政府の成長戦略そのままの威勢のいい数字が並ぶ。
▽今後3年間で設備投資を年間70兆円に回復
▽17年度末までに約40万人の保育の受け皿を新たに確保
▽20年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円に
しかし、これまでにも指摘してきたようにいずれもハードルは高く、実現の道筋は描けていない。
一方で、来年4月の消費税率引き上げに一切触れていないのはどうしたことか。社会保障改革も
「国民会議の結果を踏まえて必要な見直しをする」とするにとどめた。
ともに国民に負担を強いるテーマだ。選挙に不利になるから盛り込まなかったとすれば、
これほど有権者をばかにした話はない。
09年の総選挙で、民主党は実現不能なバラ色のマニフェストを掲げ、破綻(はたん)に
つながった。野党としてそれを批判してきた自民党が、いままた同じ轍(てつ)を踏もうというのか。
看過できないのが、原発をめぐる政策転換だ。
先の総選挙で自民党は「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立をめざす」と公約
していた。たった半年前のことである。
それが今回は「地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をする」と、休止中の原発の
再稼働推進に踏み込んだ。
3・11から2年が過ぎ、安全より経済優先で理解が得られると思っているのか。首相は
衆院選公約との整合性をきちんと説明する責任がある。
この参院選を機に、与党は衆参両院で過半数を得て「政治の安定」を実現しようとしている。
そうなれば、今後の政策を進めるうえで与党の力は格段に強まる。
私たちが、自民党の公約に注目するのはそのためだ。
公約では、憲法改正や集団的自衛権行使など、いわゆる「安倍カラー」を強く打ち出してはいない。
だが、参院選が終わったら「白紙委任」を得たとばかり走り出すようでは困る。
この公約には、そんな危うさがつきまとう。
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