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対馬市の文化財を狙った連続窃盗事件は発覚から1カ月がたった。県警は海外流出も視野に行方を追い、
県市は管理体制の見直しを検討している。だが、過疎化で「島の宝」を守る監視の目が行き届いていない
実情もあり、ともに難航している。
■防犯意識
人里離れた森にたたずむ厳原町豆酘(つつ)の多久頭魂(たくずだま)神社。境内の収蔵庫は屋根に
幅約50センチの穴が開いていた。10月11日、対馬南署はここから県指定文化財「大蔵経」
1冊が盗まれたと確認。被害は峰町の国指定重要文化財「銅造如来立像」、豊玉町の県指定文化財
「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」と合わせ3件となった。
対馬の事件を、ソウル新聞社の元東京特派員で、日本で盗まれた文化財が韓国で闇取引される実態を
取材してきた黄性淇(ファンソンギ)文化広報局長(49)は「韓国で人気がある仏像や経典に的を
絞っている。盗品は海外へ出る可能性がある」とみる。
かつては韓国の寺院でも盗掘事件が多発。現在は取り尽くされた状態で「暗躍するブローカーは
防犯意識が低い日本に注目しており、朝鮮渡来品が多い対馬が狙われても不思議ではない」と警鐘を鳴らす。
地元の有識者も「興味がある人が見れば、ここは宝の島。国内外の古美術商が頻繁に出入りしている」
と口をそろえる。過去には個人所有の仏像が億単位で売られたこともあり、今回被害を受けた仏像も
「数億円は固い」とみられる。
■管理体制
事件前に県内で発生した国、県指定文化財の盗難は5件。中でも1994年に壱岐市の安国寺から
盗まれた「大般若経」は翌年に酷似物が韓国で国宝となっていることが判明。国は韓国政府に調査を
依頼しているが反応はないという。
県警は出入国管理当局などと連携し、捜査しているが、ある警察関係者は「過疎地で目撃情報は乏しい。
都市部のように人や車の流れを把握するシステムもなく難しい状況」とこぼす。
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