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ウォンの脆弱性の背景には、韓国の対外債務に占める短期債務の比率の高さが挙げられる。
今年6月末の韓国対外債務は4186億ドルと過去最高水準だが、
うち短期債務は1414億ドルと対外債務の33.8%を占める。
これは同じアジア圏に属するインド(23.0%)やインドネシア(17.0%)に比べても高い。
韓国の場合、外貨借り入れの主体は民間銀行で、
外貨建て預貸率は300%超と中国(約200%)や日本(約100%)に比べ高く、
市場のリスク回避姿勢が強まり韓国の対外短期債務が急速に引き上げられると
韓国の民間銀行はウォン売りによって外貨を調達する必要性が高まる。
上述したように08年の世界金融不安の際にウォンは大きく下落したが、
この時は韓国中銀がFRBと結んだドルスワップ協定によって
米ドルを調達することで流動性危機を抑え込んだ。
現在、韓国中銀とFRBが締結したドルスワップ協定は失効したままであり、
また日韓スワップ協定は先月末に拡充措置が終了し
限度額が700億ドルから130億ドルに縮小している。
08年当時のように対外短期債務の回収ペースが高まると、
ウォンへの下押し圧力は急速に強まる可能性がある。
<韓国の外貨準備に潜む構造問題>
韓国の外貨準備の多くが流動性の低い証券で運用されている点も、ウォンの脆弱性を高めている。
通常、外貨準備は緊急時に備えて米国債といった流動性が高いもので運用される。
たとえば、日本の場合は、外貨準備(約1.27兆ドル)のうち1.18兆ドル程度が米国債であると言われている。
一方、韓国中銀の年次報告(2011年版)によると、
韓国の外貨準備のうち流動性資金と分類される資産は全体の4.5%に過ぎず、
残りは収益性資産が79.7%、委託資産が15.8%となっている。
商品別に見ると韓国の外貨準備のうち
預金に分類される資産は全体の6.6%、政府債は36.8%となっており、
政府機関債、社債、資産担保証券(ABS)、株式といった
流動性の低い資産が外貨準備の過半を占めている。
韓国の外貨準備は3234.6億ドルと世界第7位の規模に達しているが、
流動性危機が生じた際に転用できる外貨準備はせいぜい4割程度と考えられ、
ウォン売りの流れを食い止めるには十分とはいえない。
ユーロ圏ではギリシャ、スペインを中心とした債務問題に加え、
これまで底堅く推移してきたドイツも含め景気悪化懸念が強まりつつある。
米国では、いわゆる「財政の崖」問題をめぐり
オバマ大統領と議会との交渉が難航するとの見通しが強まっている。
これを受けてムーディーズは、連邦債務の中期的な安定・削減策で
政策当局者が合意できなければ、最上位の「Aaa」としている
米国債の格付けを1段階引き下げる可能性もあると警告した。
今後、市場のリスク回避姿勢がさらに強まる可能性も否定できず、
これまで底堅く推移してきたウォンが急落するシナリオが現実味を帯びてきたように思える。
URLリンク(jp.reuters.com)