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中国が安価な鉄鋼製品の輸出攻勢を強めている。
国内の需要低迷を背景に、原価割れで輸出するケースも出ている。
業界関係者によると、従来あまり輸出してこなかった中東や北アフリカにも輸出先を拡大しているという。
中国鉄鋼工業協会(CISA)によると、同国では鉄鋼市場が4カ月以上にわたって低迷。
主要鉄鋼製品の販売価格が生産コストを下回っている。
ロシアのある鉄鋼トレーダーは
「中国勢はこの3─4週間、あらゆる市場で販売攻勢をかけている。国内価格が急激に下落しているためだ」
と指摘。
「中南米、アフリカ、中東、イラン、ロシアの一部にも輸出しようとしている」
と述べた。
トレーダーによると、北アフリカ・中東向けの輸出価格は現在、
中国製品がトルコ・ロシア製品よりも1トン当たり40─50ドル安い状態。
2週間前の価格差は20─30ドルだった。
プラッツSBBによると、今週の中東向けの鉄筋価格はトルコ製が1トン当たり610ドル前後、
中国製が560ドル前後となっている。
<インフラ事業への期待>
中国政府はこのほど1500億ドル規模のインフラ事業を認可しており、
市場では中国国内の鉄鋼需要が再び上向くのではないかとの期待が浮上している。
鉄の原料となる鉄鉱石の価格は、中国のインフラ事業への期待を背景に安値から戻しているが、
多くの業界関係者は価格の上昇は一時的で、鉄鋼業界の回復にはさらに多くの対策が必要だと指摘している。
前出のトレーダーは「認可されたインフラ事業が実際に始まるまで数カ月かかかるだろう」と指摘した。
中国では、融資の返済が滞った鉄鋼商社が銀行から提訴されるケースが相次いでおり、
輸出でキャッシュフローを確保したいとの思惑があるとみられる。
欧州鉄鋼連盟(EUROFER)のゴードン・モファット事務局長は
「中国の成長モデルでは、社会不安を防ぐため雇用の創出が必要だ。
したがって、国内が低迷すれば輸出に乗り出す必要がある。その段階に入りつつあるのではないか」
と述べた。
<ロシアが打撃>
中国の輸出拡大で最も打撃を受けているが、ロシア、ウクライナ企業だ。
両国の鉄鋼業界は主に汎用品を生産しており、中国メーカーと直接競合する。
鉄鉱石や原料炭の中国向けのスポット価格が下落していることも、中国の輸出競争力強化につながっているという。
ある欧州のトレーダーは中国製品について、納品までの時間が長いことや、品質面の問題などで、
すべてのユーザーに受け入れられるわけではないが、
価格が安いことから欧州勢による購入が増えていると指摘した。
複数のトレーダーによると、米国は反ダンピング課税があるため、
安価な中国製品が大量に流入する事態とはなっていない。
ただ、同課税対象外の中国製品は、最大で国内製品より1トン当たり100ドル安く、注文が増えているという。
スチール・マーケット・インテリジェンスのアナリスト、ミシェル・アップルバーム氏は
「中国は記録的なペースで生産を続けているが、消費が追い付いていない」
と指摘。
「そのうち減産するだろうが、現時点では中国が大きな問題になっている。
鉄鋼価格が回復するまでしばらく時間がかかるだろう」
と述べた。
URLリンク(jp.reuters.com)