12/07/06 06:47:18.21 0
日本と韓国。この隣国間で、また不幸なすれ違いが起きた。
両政府の間で締結が合意されていた軍事情報の秘密保護協定(GSOMIA)が先週、
署名式の段取りまで決まっていたのに、その1時間前になって韓国側の求めで延期された。
韓国の与野党の反発が原因で、政府高官の辞任騒ぎにまで発展している。
協定は、自衛隊と韓国軍との間で軍事情報を共有するため、互いに提供された情報を
保護するための枠組みだ。
日韓間の初めての本格的な防衛協力であり、玄葉外相が言うように「歴史的な出来事」
となるはずだった。
それだけに、土壇場での延期は残念だ。
協定のもとでは、北朝鮮関連の情報提供がおもに想定されていた。日米、米韓の間では
共有されているのに、日韓の間にはそれがない。
4月の北朝鮮による事実上のミサイル発射失敗についての情報が錯綜(さくそう)
したのは、まさに日米韓の三角形の一辺が欠けているためだった。だから、日韓の
防衛当局の間では、協定への期待は高かった。
ところが、韓国内からは「日本による再侵略」などという批判が伝えられた。
日本による植民地支配の記憶を持つ韓国だ。慰安婦問題の再燃もあり、「軍事協力」
という響きに敏感になる国民感情はよくわかる。こうした思いはないがしろにすべきではない。
それにしても、「再侵略」とは、大多数の日本人にとっては思いもよらぬ批判だし、
あまりに冷静さを欠いている。
アジア太平洋地域で、日米韓という、共通の価値観を持つ国が安全保障で協力する
ことは、北朝鮮の不穏な動きや中国の台頭を考えれば、韓国にも利益が大きいはずだ。
もっとも日本だって、原子力基本法に「我が国の安全保障に資する」との文言を加え、
いらぬ不信の種をまいた。これに刺激されたのだろう。大統領選をうかがう韓国の
政治家から「韓国も核保有能力を持つべきだ」との発言が飛び出した。
これから年末に向け、韓国では大統領選がある。日本でも総選挙がちらついてきた。
政治家にしてみれば、世論が気になる季節だ。
どこの国でも、ナショナリズムがからむ問題に世論は敏感だ。ちょっとした政治家の
言動が、ネットによって何倍にも増幅される。
こんな時だからこそ、政治には冷静さを保ってほしい。
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