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マニフェストについて民主党が非難されるべきなのは「約束を果たさなかったから」ではない。
「果たせない約束をしたから」である。
分裂状態に陥った民主党で、小沢一郎元代表ら造反議員は野田政権の「公約違反」を批判する。
政権交代につながった09年総選挙の公約に消費税増税はなかった。たしかに「国民に対する
背信行為」のそしりは免れない。いずれ総選挙で国民の審判を仰がねばなるまい。
だが、野田首相に「約束を果たせ」と言いつのる小沢氏らは財源の裏付けのない
「果たせない約束」をつくった責任をどう考えるのか。
もう一度、民主党の公約を見てみよう。
月2万6千円の子ども手当を支給する。月7万円を最低保障する新年金制度を導入する。
提供するサービスははっきり書いてある。一方、財源については「むだの削減」といった、
あいまいな記述にとどまる。
最低保障年金を実現するには、「10%」をはるかに上回る増税が必要になることも、
それにもかかわらず多くの人の年金が減ることも書かれていない。
「負担増なしに福祉国家を実現できる」と言わんばかりの公約だった。
その公約づくりを党代表として主導したのは、ほかならぬ小沢氏だった。子ども手当の
額を上積みさせ、「財源はなんぼでも出てくる」と言い続けた。
現実には、子育て支援の充実も年金財政の安定も、増税なしには困難だ。だからこそ、
3代の民主党政権が苦しみ続けたのではなかったか。
小沢氏は何をしていたのか。「むだを省けば、増税なしに財源をつくれる」というなら、
具体的にこのむだを省けと政権に迫ればいいではないか。増税を試みた菅政権にも
野田政権にも、そんな説得の努力をしたとはついぞ聞かない。
小沢氏自身、増税なしには社会保障の維持さえできないことはわかっているはずだ。
だから、細川政権時代に7%の国民福祉税を導入しようとしたのではなかったのか。
いまさら「反消費増税」の旗を振るのは、ご都合主義が過ぎる。にもかかわらず
造反議員らは「反消費増税」を旗印にした新党づくりを公言している。執行部は
厳しい処分で臨み、きっぱりとたもとを分かつべきだ。
「果たせない約束」を掲げて政治を空転させることを繰り返してはならない。
次の総選挙に向けて、政治が国民の信頼を回復する道はそれしかない。
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