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カメラのニコンは世界中の写真家、写真愛好家の間で愛されているメーカーだ。
それゆえ、五月末に各メディアを駆けめぐった名古屋在住の韓国人、写真ドキュメンタリー作家、
安世鴻さん(四一歳)の写真展を一方的に中止したニュースは言論・表現の自由に対する
裏切り行為そのものと受け止めた人が多かったに違いない。
報道の自由を擁護する国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」のアジア太平洋局長、
ベンジャミン・イシュマル氏は五月三一日、「展示会中止に対しての情報統制を非難する」との
正式なコメントを出し、「ニコンという民間企業がナショナリスト的扇動の外圧を受け入れ、検閲に
加担したということは大変遺憾である」と述べた。
六月に予定されていた新宿ニコンサロンでの写真展「重重―中国に残された朝鮮人元日本軍『慰安婦』の女性たち」。
中止の理由としてニコン側は「諸般の事情を総合的に考慮」(五月二四日付文書)とし、今回の写真展だけでなく
九月の大阪ニコンサロンでの展示のキャンセルまでも一方的に告げた。
安さんはその後、ニコン側と文書でやりとりする。
筆者が三〇日にニコン広報に電話で聞くと、最後になってようやく
「個々の中身は言えないが、抗議の電話、メールがかなりあった」
とし、右翼側からの働きかけによって中止を決定したことを事実上認めた。
実際、五月二五日には東京・有楽町のニコン本社前で、「主権回復を目指す会」が、
「祝! 安世鴻写真展中止! 写真展中止は国益に適った判断」との横断幕を掲げ集合。
ネットの掲示板でも写真展に関して、「売国行為をやめよう」「ニコンに不買運動すべき」
「抗議電話して売国行為やめさせよう」などと非難する声明や誹謗中傷する声が掲載された。
問題はさらに続いた。写真展中止に関するニュースが流れ始めて二日後の五月二六日、
安さんの個人情報がネット上に漏洩。安さんとその家族の身の安全にまでも深い影を落とし始めた。
今回の展示作品は、戦後中国に置き去りにされた旧日本軍の韓国人元従軍「慰安婦」らを被写体としたもの。
九〇歳以上の一二人の元慰安婦らが写真に収まっている。「忘れ去られた女性らを覚えていてほしい」との
思いが撮影の動機で、「これのどこが政治的プロパガンダなのだ!」と安さんは怒りに身体を震わせて言う。
「外圧によって写真展を中止したニコンの対応は将来、写真家に
『この写真ならニコンには展示できるかできないか』と考えさせる余地を与え、
結果として表現の自由が消えていくことが懸念される」
表現の自由だけでなく、この国には品位も見識もないのか。
(瀬川牧子・ジャーナリスト、6月8日号)
タグ: ニコン, ベンジャミン・イシュマル, 中止, 写真展, 右翼, 国境なき記者団, 安世鴻, 慰安婦, 新宿ニコンサロン
ソース(週刊金曜日):
URLリンク(www.kinyobi.co.jp)