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「後進国だったら裁判にかけ、死刑という話につながりかねない」
この物騒な発言の主は「サンデー毎日」の「A級戦犯 菅直人の刑事責任」の中の溝手顕正・
自民党参院幹事長である。東日本大震災から1年をふり返る特集を各誌がやっているが、
内容は似たり寄ったりである。その中で、菅直人前総理を「殺人未遂に問えないのか」
とタイトルを打った毎日が目立つ。
原発事故を検証する「福島原発事故独立検証委員会」が2月28日に公表した約400ページに
及ぶ文書には、原発事故当初、菅政権中枢がいかに混迷していたかが詳細に書かれている。
とくに菅首相は事故直後は斑目春樹内閣府原子力安全委員長としか話さず、怒りっぽく
独善的なやり方で終始し、「国民への情報が遅れ、マイクロマネジメントにまで走った。
全体として不合格と言わざるをえない」と断じている。
菅首相は2010年10月に中部電力浜岡原発で行われた防災訓練で対策本部長を務め、
そのときにSPEEDI(緊急迅速放射能影響予測システム)を用いているにもかかわらず、
福島原発事故では活用せず被曝を拡大させてしまった。女房役の枝野幸男官房長官は
何ら根拠がないにもかかわらず、記者会見で「(放射能汚染は)ただちに影響が
出るものではない」という無責任な発言を繰り返した。さらに事故の対応を議論する
際に議事録もとっていなかったのである。
そこで編集部は「政治の根本は国民の生命と財産を守ることだ。人命を最優先すべき
政治家が、白血病になるほどの放射線量と知りながらパニックを恐れて放置・隠蔽した
場合、『殺人未遂』に問える可能性はないのか」と疑問を持ち、元最高検検事で
筑波大学名誉教授の土本武司に聞きに行く。土本は「適用するなら業務上過失傷害か
業務上過失致死でしょうが、因果関係の立証は非常に難しい」とする。
だが、「国会事故調査委員会」のようなところが、国会に対して菅の証人喚問を要請し、
そこで嘘をつけば偽証罪で刑事責任が問える。また、東京地検特捜部に、この問題を
捜査したらどうかと水を向けている。大震災から1年が過ぎようとしているのに
瓦礫処理も遅々として進まず、原発事故の完全な収束の見通しも立たない。無責任な
政治家の象徴として菅や枝野を証人喚問することは賛成である。原発事故は人災である。
被災者はもちろん日本人全体が泣き寝入りしてはいけない。
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