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ホリー・チェン氏は元小学校教師で、身長わずか5フィート(約152センチ)余り。
スパンコール付きの服を好んでよく着ている。
一見しただけでは、この68歳の年配女性が地球上で最も売り上げを上げている
販売員の1人とはまさか思わないだろう。
ある1月の夜、カジノの宴会場に所狭しと集まった約1100人の聴衆が、立ち上がってチェン氏を迎え入れた。
カメラのフラッシュがたかれるなか、チェン氏は黒のエナメル革のブーツでステージ中央へと大股で歩いて行った。
すると思いがけずムードが一変した。
亡き母の思い出から話しを始めたチェン氏が、ほどなくして涙を流したのだ。
「最も強力な武器は人の心を動かすことだ」
と、チェン氏はのちに北京語で述べ、
「愛を込めてシグナルを送れば、同じようなシグナルを送り返してもらえる」
と語った。
チェン氏はこの情緒に訴えかけるビジネスを仕切る主要人物だ。
チェン氏とその夫、バリー・チー氏は数十年にわたって、
自社ブランドの化粧品や日用品の直接販売を行うアムウェイで世界最大規模の売り上げを稼ぎ、
歩合給で働く約30万人の販売部隊を鼓舞している。
略
チェン氏はシンプルな逸話や訓示を好む。出席者はそれを熱心に書き留めている。
長時間にわたるチェン氏の 講話は、お決まりの逸話を軽快なテンポで楽しく語り、
ところどころ思い付いたように無駄話を挟む。
探検家のクリストファー・コロンブスからエジプトのピラミッド、
万里の長城、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏まで話題は次から次へと飛ぶ。
お気に入りはロナルド・レーガン元米大統領の話で、
レーガン氏が映画俳優組合の委員長を務めることで、いかにして信用を獲得したかを語った。
「自らを与える者へと昇華させられるかどうかは、われわれ自身にかかっている」
とチェン氏。
話にはチェン氏自身の生い立ちもたっぷり盛り込まれている。
生まれ故郷の漁村では貧しい生活を送っており、かゆでさえもぜいたくな食事だった。
教師を経てやがてアムウェイに出会う。
カジノのテーブルやトイレの順番待ちの列に付く人を口説き落とすことで、成功を収めた
(順番待ちの列では、自分の前ではなく、後ろにいる人に話しかけるのがコツだとチェン氏は話す)。
中国本土で1995年に直接販売が認可されたときは、
通りでお薦めのレストランを尋ねることで最初のきっかけをつかんだ、とチェン氏は話す。
「そうやって友達になってから、ビジネスの話を持ちかけた」
チェン氏はラスベガスの宴会場をさっと見渡し、感動的なセリフを口にした。
聴衆は一点の疑いもなく、それを受け入れた。
「人の外見ではなく、内面を見ることが重要だ。心を理解することが必要だ」
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