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福島第一原発事故の発生以降、原発を巡ってはさまざまな対策を講じる必要が出てきた。廃炉、除染でも、
そして再稼働でも儲ける―原発ビジネスはすでに“逆回転”が始まっている。その実情をジャーナリストの
伊藤博敏氏が報告する。
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原子力ビジネスの担い手たちは、既に、「逆回転」への準備を進めている。関連企業に天下った東電OBが明かす。
「最終処分場探しは、30年近くを費やしても、これまでできなかった。政府も東電も、最終的には福島しかない
と思っている。原発周辺地を買い上げ、そこに処分場をつくる。最適なのは第二原発だ。第一原発同様、
廃炉にするしかないし、岩盤が浅くて工事が容易で、地元の理解が得やすい」
福島第二原発は、双葉郡の富岡町と楢葉町にまたがる。ここは、旧動燃が行なった候補地選定作業で、
全国88か所の「適正地区」に選ばれた経緯があるし、09年には草野孝楢葉町長が「処分場受け入れ」
を表明、その後、撤回したものの意欲はある。
原発は「逆回転」を始めた。“夢”を諦め、現実に立ち返り、廃炉や除染といった後ろ向きの事業に
注力しなければならない。一見、原子力ビジネスに将来はない、と思わせる。だが、そうではない。
「逆回転」が新たなビジネスチャンスを生み、原発で儲けた連中が、廃炉、除染、最終処分場などでも
儲けている。例えば、今、原発で何が起きているか。東電関係者が話す。
「再稼働へ向けて、“完璧な原発”にすべく準備を進めています。それはストレステストで求められる
以上の厳しさで、『想定外』という言葉を使わなくて済むように、橋が破壊、道路が分断、全電源が
落ちても、非常用電源を確保するなどして原子炉を損傷なく止められる体制を確立しようとしています。
そのために費用を惜しまない。原子炉内の圧力が高くて、注水できないトラブルがありましたが、
どんな圧力にも負けない給水ポンプを数百億円かけて開発、配置するつもりです」
にわかには信じ難い感覚だが(東電広報部は「あらゆる事故を想定、対応するつもりです」と回答)
それで潤うのは原発メーカーである。事実、東芝、日立製作所、三菱重工業の原発3社は、事故後、
「フクシマを体験した」ということで海外受注が堅調。しかも、前述のような各種安全対策も受注できる。
ゼネコン各社もそうだ。全国の原子炉建屋は、鹿島(24基)、大林組(11基)、大成建設(10基)
の順に受注しているが、この3社は、内閣府から福島県内12市町村の除染モデル事業を委託された
日本原子力研究開発機構から再委託を受けた。
同機構は旧動燃の流れをくみ、カネ食い虫となった「もんじゅ」を運営する。つまり、原発推進の
“仲間”が、「放射能に習熟」していることを理由に事業を受注しているのだ。しかも今回は
モデル事業で119億円だが、今後、数兆円に達する除染作業の中核を担うことになり、最終的には
原発建設で潤った双葉郡内の末端の企業に、再度、仕事を分け与える。
「廃炉と除染で、今後、何十年も食える」
こう本音を漏らす原発関係者が少なくないのは、その具体的な流れが見え始めたからだ。
制御できない原発は、推進の時も撤退の時も、そのリスクゆえに関わった地域、企業、
人に多大な富をもたらす。だが、国民には電力の不安定、電力価格の高騰、放射能汚染と
いった“負の遺産”を残すだけなのである。
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