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「ハローワークにある仕事なら安心だと思っていました」
ケアマネジャーをしている渡辺淳子さんは、息子の航太さん(享年24歳)の就職先について、そう話した。
「求人票に真実が記載されていれば、息子は入社しなかった」
航太さんが昨年3月に入社したのは、東京都世田谷区に本社のある空間デザイン会社、
株式会社グリーンディスプレイ。植物を使った空間演出を手がけ、有名ホテルや百貨店などの植栽を受け持っている。
「テレビで銀座の飾りつけを見ては『あれはうちがやったんだよ』とか、六本木が映れば『あそこはうちがやったんだよ』と、
目がキラキラしていました」(淳子さん)
しかし、入社翌月の昨年4月24日、夜勤明けの帰宅中に原付自転車で単独事故を起こし、
死亡した。原因は航太さんの居眠り運転とみられるという。
会社のタイムカードによると、航太さんは事故前日の午前11時ごろ出社。
約22時間後の24日午前8時50分ごろに退社するまで、記録上の労働時間は約17時間に上る。
「事故防止」重視して会社選び 家族と相談し方針明確に
2013年春に都内の大学を卒業した航太さんは、同年9月、東京西部のハローワークで求人票を見ていた。
希望するのはデザイン関係の正社員だが、家族と相談して、会社を選ぶにあたって譲れない方針を2つ決めていた。
ひとつは夜勤がないこと、もうひとつは自動車通勤が禁止されていること。
これは、介護業界で働く淳子さんが、夜勤での自動車運転が、どれほど注意していても危ないことをよく知っていたからだ。
淳子さん自身、夜勤とマイカー通勤が常識で事故が多発している介護施設を避け、居宅介護支援事業所を勤務先に選んでいる。
そんな希望と方針にちょうど合致したのが、グリーンディスプレイだった。
同社の取引先はなかなか魅力的だ。日本橋三越や六本木ヒルズ、和光銀座本館、大丸松坂屋百貨店、
JR東日本企画(アトレ)、第一ホテル東京、ホテル日航といった有名どころが同社ホームページに並ぶ。
淳子さんによると、航太さんが業界を調べたところ、同社は業界内で手がける分野が広いそうだ。
支店も、札幌、仙台、名古屋、神戸、福岡と全国展開しており、今後のキャリア展開に有利になるとの考えもあったらしい。 だが、内定には至らなかった。
その代わりか、同社からアルバイトの誘いがあった。正社員採用への期待を持ちつつ、10月16日に航太さんはアルバイトとして入社し、
横浜市内の拠点に配属された。
ちょうど季節は秋から冬へ。クリスマス、年末、正月、バレンタイン、ホワイトデーと大きなイベントが続く直前だった。
「夜勤なし」のはずが……
航太さんのタイムカードを見ると、出社はおおむね午前8~9時台で、入社後の1週間は遅くとも午後7時20分までに退社の打刻がある。
しかし、仕事を始めて1カ月ほど過ぎたころには、午前3時台の退社が現れ始めた。出社は午後3~4時台の日もあるが、
いつもどおり午前9時台の記録もあった。
深夜に仕事が終わっても電車は動いていない。仮眠室はあったが、上司や先輩、女性社員に配慮してソファなどで寝ることが多く、
十分な仮眠は取れなかった。自宅で休むために原付自転車が必要だった。
この段階で、ハローワークに出ていた求人票とは実態が異なっている。求人票が正社員を対象としていた違いはあるが、
アルバイトといえども、航太さんの会社選びの方針は安全面から導かれたものだ。
それでもグリーンディスプレイを辞めなかったのは、希望する業界で正社員になれる可能性を捨てていなかったからだ。
アルバイト開始後の様子について、淳子さんはこう振り返る。
「クリスマスシーズンに向けて仕事を始めて、『がんばれば内定通知が来るよね』という話をしていました。
会社がどう言ったかわからないけれど、私たちは試用期間だととらえていました」
「年が明けてだんだんと疲れてくる様子があった。『ちょっとブラックかな』という話はしていました。
それでも、仕事はすごく楽しいと言っていました。ただ、2月ごろにはさすがに本人も、『いくらなんでも体がもたない』と思ったようです」
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1カ月ごとの残業時間は正確な記録が残っていないため、わからない。休憩をすべて取得した場合の残業時間は、