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日本を含む環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加した12カ国は10月5日、「交渉が『大筋合意』に達した」とする
声明を発表。これを受けて6日午前10時、安倍晋三首相は会見で「かつてない規模の人口8億人
、世界経済の4割近くを占める広大な経済圏。その中心に日本が参加する。TPPはまさに『国家百年の計』だ」と胸を張った。
ところが、そもそもTPP交渉に前向きに取り組んでいた民主党は、この合意に強い反対の声をあげている。
いまだ多くの国民の間に”民主党アレルギー”があるものの、今回、彼らの主張は、筋の通ったものにみえる。
歓迎論も多いが、大筋合意には問題が多いのだ。
「ウソつかない、TPP断固反対、ブレない」
10月8日に開かれた野党・民主党のTPPに関する関係部門合同会議。『大筋合意』の内容について、
内閣官房TPP政府対策本部をはじめ関係省庁が説明に出向いた。
だが多くの議員はそれには全く納得していない。「安倍首相は自民党総裁として2012年の衆院選
で『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない』というスローガンを挙げ、参加に断固反対と言って戦った。
なのに勝ったら3カ月後にはもう参加を表明。『聖域を確保する』と言い、その聖域とは国民の死活問題だとしながらも
、結果的には農家を廃業に追い込んでいる」。
最初に手を挙げたのは黒岩宇洋衆院議員だ。自民党が2012年の衆院選で使用したポスターのコピーを掲げ、
地元の養豚農家の窮状を訴えた。「アメリカのルールに従うというのなら、そのルール通りに協定書を早く出してくれ。
条文の翻訳はいつ出してくれるのか」。
官僚たちにこのように注文を付けたのは篠原孝衆院議員。元農水官僚でTPP反対派の最右翼として知られている。
民主党は野田政権時にTPPに参加する方針を表明している。しかし、この度の「大筋合意」の内容に対しては
、党内で反対の声が渦巻いている。7日の会見で枝野幸男幹事長は、
「製造業でメリットがとれていないのに、農業で譲歩してしまった」と政府を厳しく批判した。
「今回の『大筋合意』なるものは、とうてい国益にかなっているとは思えない」民主党の玉木雄一郎衆院議員がこう述べている。
衆院農水委員会理事を務める玉木氏は、10月1日にはアトランタに立ち寄り、会合の様子を観察してきた。
「この時、日本の代表団はとてもヒマそうにしていた。すでに“闘い”を放棄しているように見えた。
守るべきところを守らず、攻めるべきところは攻め切れていない」。
確かにその内容を見ると、「完全な敗北」といっていい。
たとえば日本の農業にとって最も守るべきとされるコメについては、既存のWTO枠77万トンに加え、
新たにアメリカから5万トン(13年目以降は7万トン)、オーストラリアから0.6万トン(13年目以降は0.84万トン)を輸入することになっている。
「いまは日本の食用米が余っている。農家に1アールあたり10万5000円の補助金を出して、わざわざエサ米を作らせている状況だ。
これ以上外国から食用米を輸入すれば、備蓄バランスが大きく崩れ、最終的にはコメを安価に大量放出しなくてはならず
、その差額は税で埋めることになる。これではかつての食糧管理制度に逆戻りになってしまう」(玉木氏)
さらに豚肉の関税が実質ゼロになることで、養豚業者の経営が苦しくなり、廃業も増えると見込まれる。
エサ米を一番消費するのは豚なので、そうなればエサ米も売れなくなる。日本の主食たる米に、「悪夢の循環」が生じることになるのだ。
自動車にとっても厳しい
また「日本の主要な産業である自動車にとっても、非常に厳しい状況になる」と玉木氏は述べる。
とりわけネックとなっているのは関税をゼロにする条件である「原産地規定」だ。
自動車の場合は、どのくらいの部品を域内調達するかということを意味する。
「日本の自動車の部品の多くは、コストの安い中国やタイ、インドネシアといったTPPの域外から調達しており、
域内調達は40%くらいだろう。一方でNAFTAの域内調達割合は62.5%で、極めて高い。最終的に55%で合意したが、
日本はかなりの部分をTPP域内に移さなければならなくなる。攻めるべきところで攻め込まれている」(玉木氏)
自動車産業のために、もっと強く日本の要望を主張するべきだった。