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(ブルームバーグ):徴税強化か、利便性の向上か-。社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の利用範囲を拡大
する改正法案が、3日に衆院本会議で可決、成立した。同制度に対する問題点も指摘されるなか、来年1月から運用が始まる。
来月から国民に通知される12桁の番号によって、役所が税や社会保障、災害補償の3分野で個人情報を管理できる。
政府は同制度の導入に伴う徴税業務の効率化によって、2400億円の税収増につながると試算。二重給付や給付過誤の防止によって社会給付の適正化も狙う。
さらに、改正法では18年から任意で番号を銀行の預金口座に付けることができる拡充策も盛り込まれた。
政府はペイオフのための預貯金額の合算に利用できると利点を説明するが、個人資産を詳細に把握し、税の徴収につなげる狙いもある。
21年以降、義務化も検討する。
野村総合研究所の梅屋真一郎・制度戦略研究室長は同制度について「税と社会保険料の確実な捕捉につながる。
医療分野の不正受給なども含め、歳入は5000億円以上改善される」と指摘する。
米国が社会保障番号を79年前に導入したのをはじめ、海外でも同様の制度の前例はある。
日本では1968年に佐藤内閣で国民総背番号制度が検討されたが、高額所得者への徴税強化につながるとの反対論が強く頓挫。
以来、半世紀を経て実現にこぎ着けた。
制度導入による利点もある。確定申告手続きや児童扶養手当の支給などの行政続きで住民票などの貼付書類が不要となり、
ネットで税金や保険料の納付も可能となる。災害時の被災者生活支援金の支給や生命保険金、損害保険金などの払い出しの円滑化も期待できる。
一方で、プライバシーの問題を指摘する声もある。事実、改正法案は今年5月に衆院で可決されたが、
年金情報の流出問題が起きたため、民主党からの要望でマイナンバーの基礎年金番号への連結を延期する修正を参院で行い、
衆院での再度の採決が必要になった経緯がある。
日本弁護士連合会の情報問題対策委員長を務める坂本団氏は「1つの番号にいろいろな情報をひもを付けて使い回すと、
悪用されると被害が甚大だ。年金情報は120万件が漏れた。マイナンバーが漏れたら、
銀行の預金情報も引き出せる」と問題点を指摘。プライバシー侵害で違憲の疑いがある制度だとして裁判を起こす準備を進めているという。