15/07/27 09:20:58.38 .net
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言論の自由が保障された日本国に住んでいるが、日経ソフトウエア編集部に所属している以上、
なかなか言えないことが1つある。それは「安易に職業プログラマにはならない方がよい」という意見だ。
日経ソフトウエアはプログラミングの面白さを伝え、プログラマを応援するのが使命の雑誌なので、
これは言ってはいけない。それどころか、「プログラマはとても面白く、やりがいのあるすばらしい職業だ」
と普段は言うようにしている。ちょっといやらしい?
しかしつい先日、とあるコンピュータ専門学校からプログラマという職業をテーマにした講演依頼があったときは、少し考えてしまった。
講演相手は進路に悩む高校生や専門学校の在校生だ。未成年者も多いであろう。となると、
「プログラマほど素敵な商売はない」などと言って煽ったりするのは、一人の大人として無責任であるように思われた。
やはり、職業プログラマになることの考えられるリスクもちゃんと伝えなければならない。
大きなリスクは2つあると考える。1つは「過小評価されるリスク」だ。企業の情報システムを開発する日本のIT企業に入社した場合、
プログラマはその専門性の高さの割には地位、収入ともに過小評価される可能性が高い。
プログラミングは“下流工程”で、プログラマは設計書に従って実装するだけの仕事。地位と収入を上げるには、
さっさとプログラマを卒業して、SEのような“上流工程”の職種へ“ステップアップ”するしかない…。
このような世界では、プログラマは幸せになれないだろう。
もっとも、このリスクは、現時点ではWeb系やゲーム系の企業に職を求めれば回避できる。
実は、もう1つのリスクの方が深刻だと考えている。それは「職業プログラマの需要が激減するリスク」である。
現在、専門学校を卒業した20歳の人の年金受給開始年齢は70歳位になる可能性がある。
そうなると、プログラマとして50年間働くことを想定しなければならない。
しかし、今後50年間、プログラマという職業は現在のような形で存在し続けることができるだろうか。
何を言おうとしているのかというと、人工知能がプログラマの仕事を奪ってしまうのではないか、ということだ。
米IBMの「ワトソン」や自動車の自動運転技術などを見ていると、近年のビッグデータと結び付いた人工知能の進化は驚異的だ。
今後50年以内に、自然言語を理解して、必要なシステムを自動生成する技術が登場する可能性は低くないように思えてくる。
「○○○と△△△の機能を持つ□□□のシステムが欲しい」と言えば、そのようなシステムを作ってくれる技術の出現だ。
いわゆる「2045年問題」のようなもので、ややSF的な発想かも知れない。だが、完璧に稼働するシステムとまではいかなくても、
プロトタイプレベルのシステムの自動生成であれば、それほど非現実的ではないように感じる。
そうなると、必要な職業プログラマの数は激減するだろう。
実際の講演では上記の内容をマイルドにしたものを含めておいた。特に「人工知能が~」の方はやはりSF的であるので、
かなりマイルドにした。それに、「『人工知能とロボットが×××の仕事を奪う』という文章は、
×××に大抵の職業を当てはめても成り立ちそうだ」と気付いてしまった。プログラマ特有の話をしないと意味がない。
プログラマは“IT技術の側”にいる職業であるにもかかわらず、そのIT技術によって仕事が奪われる可能性がある。
…などと想像し出すと、だんだん憂鬱になってきたので、考えるのはひとまずお終いにしよう。