15/05/05 11:39:03.24 .net
URLリンク(netallica.yahoo.co.jp)
ワーキングマザーの92%が、出産前より仕事への意欲が上昇しているんだそうだ。(URLリンク(www.huffingtonpost.jp))
ワーキングマザー(以下WM)は仕事にも意欲的で、前向きに頑張っているんだそうだ。その姿を見る女性社員の69%が、
WMになりたいと答えているそうだ。ふーん。
「本当でしょうか? 捏造ではと思うほど、私の周りには、疲弊している人が多いのに……」と、あるWMは不信感を滲ませる。
この数字はWMたちの気持ちを盛り上げようとしてくれているのかもしれないし、
世間の非WM社員に「もっと分かってあげて」と理解を求めているのかもしれない。
「でも当事者としては、『女性の活用』という言葉を武器に、産めよ働けよと焚き付けられた挙げ句、
みんな楽しくやる気に満ちてますよ、毎日悶々としながら疲労困憊なのはあなただけかもよ?
みたいな感じで突き放されている感じがします……」そのWMは疲れた表情でうつむいた。
「……私の単なる被害妄想でしょうか」。
いいえ、被害妄想なんかじゃありません。実際、日本はあるとき突然「女性の活用」と口走って、
ホラホラ楽しいWMライフ、キラキラ素敵なWMライフ、と太鼓叩いて盆踊りを始めたんです。
そこに放り込まれた当事者たちの「もう疲れた」「少し休みたい」の声は、大きな太鼓の音にかき消されてしまっているんですよ。
踊るための舞台ばかりどんどん設営されるのに、一息つくための場所がない。
そして、踊らされ続けるWMたちの姿を遠巻きに眺める観客たちは、中には苦虫を潰したような顔で見ているものもいる。
「まだまだ、もっと踊れるでしょう!」と檄を飛ばしにくるのもいる。「母親のくせに」と、子育てイコール母親のパラダイムのまま説教しにやってくるのも、
まだいる。WMを取り巻く環境は、まだまだ全く整備なんてされちゃいないのだ。
日本のWMを取り巻く環境は、変わりつつはあるが、変わらない部分の方が依然広い面積を占める。
政策が走り社会が変わる過渡期に起こる摩擦の圧力が向かう先は、当事者であるWMだ。その彼女たちが、いま疲れ果てている。
約15年前、私が小さい子どもを育てながら仕事を探し始めたとき、まだ「ワーキングマザー」なんて言葉さえ日本には浸透していなかった。
そんな頃、言った本人にははるか忘却の彼方だろうが、言われた私はまるで狸のようにしつこく覚えている言葉がある。
「えっ、小さい子がいるの。なぁんだ、あなたワケありですか」
よくスーパーの暗くて湿った片隅とかにあるじゃないですか。「ワケあり商品のため値下げ」って書かれた雑多な商品が雑に放り込まれたワゴン。
箱なしだったり傷モノだったり、取り扱い終了のためだったり。
そうかぁ。子持ちで働く女は「ワケあり」扱いかぁ。そんなこと口走る種類の男にとっては、働く女は未婚か非子持ちであるべきで、
子持ちなら大人しく専業主婦におさまっておくべきなのだろう。そうじゃない女は「稼がないといけない」生活事情にワケありか、
「専業主婦におさまっていられない」性格にワケありか、まぁとにかく「まともじゃない」んだ。ワケあり、要は箱ナシで傷モノで取り扱い終了商品だ。
予想外の理不尽に少々ショックを受けて、その頃黎明期だったネットのWM掲示板を開いて眺めていた。
そこは毎夜のように、自分のように悔しい思いをしている女たちの声がたくさん書き込まれていた。
今より遥かに保育所なんて少ない時代、どの会社でも長時間職場にいればいるほど社へ貢献していると評価される時代、
小さい子どもを抱えて仕事を探しても、鼻であしらわれる母親たちがいた。子どもを保育園に預け限られた時間で働くことをあっちからも
こっちからも自分勝手だとなじられ、悩む母親たちがいた。子どもの体調で欠勤したり早退したりすることで、
周囲に子どもにも迷惑をかけている、と自分を責める母親たちがいた。