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2016年4月の家庭向け電力小売りの全面自由化を見越し、東京電力がソフトバンクと業務提携する方針を固めたことが、
本誌の取材で分かった。両社は今後、電気と携帯電話、通信などのサービス窓口を融合。
両社の契約を一本化すれば、値引きを受けられる「セット割」などの新サービスを全国で打ち出す。
電力小売の全面自由化で新たに立ち上がる市場規模は年7.5兆円。地域独占が崩れ、異業種からの参入が相次ぐことで、
競争激化が予想される。東電とソフトバンクの提携を機に、業種の壁を越えた合従連衡が過熱しそうだ。
東電は今年3月以降、ソフトバンクに加え、NTTドコモ、KDDI(au)の携帯電話3社から、家庭向け電力小売りに関する事業提案を受け付けていた。
4月中旬の社内会議で、3社のうちソフトバンクに優先交渉権を与えることを決定。同月28日に開かれる東電の取締役会で正式に決議する。
東電とソフトバンクは今後、具体的なサービス内容を詰める作業を始め、今夏以降に詳細を発表する。
契約電力が50キロワット未満の一般家庭、中小企業、商店向けの小規模販売は現在、東京電力など全国10地域にある
電力大手が独占的に販売している。全面自由化で、誰でも自由に電力会社を選べるようになる。
家庭向けの電気販売には、電力会社だけでなく、都市ガス、石油元売り、商社などエネルギー関連企業のほか、
製紙、鉄道、不動産など他業種からも多くの企業が参入する見通し。新電力(PPS)と呼ばれる電力小売りを扱う
新規の登録事業者数は現在、650社を超えている。全面自由化後には企業間の価格競争が起こり、電気料金が大幅に下がる可能性が高まっている。
そのような状況を踏まえ、東電とソフトバンクは提携で積極的な戦略に打って出る。
全国3000店弱のソフトバンクの携帯販売店「ソフトバンクショップ」で、電気の契約手続きを行えるようにする。
他の電力会社から東電に、他の携帯会社からソフトバンクに契約を切り替えれば
「セット割」として、電気料金などを一定額割り引くサービスなどを検討する。
「0円電気」も登場?
毎月の携帯電話料金と一緒に自動的に電気代も引き落とされれば、利用者の利便性が高まる。
一定額までの電気代と携帯のパケット通信料、通話料を連動させた「定額パック」など、訴求力のあるサービスを打ち出すことができる。
一定期間は契約を解除できないなどの条件を設定した上で、両社が電気代を負担する「0円ケータイ」ならぬ、「0円電気」も登場するかもしれない。
東電にとって、ソフトバンクとの提携は営業基盤や集金システムを持たない首都圏以外の地域での電気販売を進めやすくなるという利点がある
特に、斬新で思い切った営業戦略に定評のあるソフトバンクと組めば、一気にシェアを拡大できるとの期待は大きい。
一方、「守り」の意味合いもある。人口が集中する東電管内の首都圏は全国の需要の3割以上を占めており、
全面自由化後の“主戦場”と位置付ける企業は多い。
関西電力は東燃ゼネラル石油と共同で、千葉県市原市に出力100万キロワット級の大型石炭火力発電所の建設を検討。
東京ガスと燃料の共同調達などに関して協議を進めるなど、首都圏への割安な電気の供給を狙う。九州電力と東京ガス、出光興産、
そして中国電力も東京ガスなどと共同で首都圏での発電所建設を計画している。
こうした状況から、東電は今年4月、中部電力と火力発電事業の共同出資会社設立で最終合意したと発表した。
福島第1原子力発電所事故の賠償費用負担に苦しむ中、燃料の共同調達のほか、発電所の新設・建て替えで歩調を合わせることで、
発電コストの引き下げを狙う。
だが、小売の面では両社の利害は対立する。両社ともに互いの域内での販売を目論んでいるからだ。他の電力会社と差異化を図るには、
全国に販売店を持ち、消費者との強力な接点を持つ携帯会社と提携し、現場の販売・営業力を高める必要があった。
ソフトバンクにとっての利点は、比較的安価な電気を安定的に確保できる見通しが立つことだ。ソフトバンクは2011年、
再生エネルギー発電会社を設立。その後、電力小売りを取り扱う会社も立ち上げたが、現在の発電量は微々たるものに過ぎない。
2600億キロワット時以上の販売電力量を抱える東電と手を組めば、調達面での心配はなくなる。
東電はソフトバンクだけでなく、保険会社や住宅メーカーなど、消費者との接点を持つ他業種との連携も模索する考えを示している。
一方、KDDIが関電と急接近しているとの情報も浮上する。電力小売りの全面自由化まで残り1年。生き残りを賭けた各社のつばぜり合いはますます激しさを増しそうだ。