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今年の春闘は十八日の集中回答日に向けて、労使間の議論が大詰めに差しかかっている。大手企業の業績が上向く中で、政府が
二年連続で経営側に賃上げを要請し、経営側は前向きの姿勢を見せている。一方で、政府と経営陣で進む賃上げ協議に組合側の
存在感は薄れる。強気とは言えない組合側の要求水準にも、有識者からは疑問の声があがっている。 (木村留美)
自動車業界が軒並み六千円のベースアップ(ベア)を要求するなど、今春闘は昨年以上の数字が並ぶ。だが、労働組合に詳しい
法政大学経営大学院の藤村博之教授は、大手企業の多くが増収増益を記録することに比べれば「組合は遠慮をしている」と、決して
要求が高くはないと指摘する。
トヨタ自動車の場合、現状で物価上昇率が2%台半ばで推移することを前提に、平均賃金(約三十五万円)から計算すると、要求額は
七千円から八千円程度になる。こうしたことを指摘する藤村氏は「組合は経営に協力しすぎている。昨年は『もう少し出してもいい』と
考える経営者がいたが、組合が要求してこないから出さなかったと話す人もいる」と明かす。
富士通総研の早川英男氏も「組合にはストをやってまで徹底的にやるという感じが漂ってこない」と指摘する。強気の要求をしないのも
「企業と同じで防衛的な思考が労働者にも染み付いているからだ」(早川氏)と分析する。組合はバブル崩壊後、企業から雇用の維持か
賃金かを迫られる中で強硬な要求をしなくなった。非正規労働者は増え、正社員の賃金も増えない雇用の構造に陥った。
藤村氏は、昨年も政府の要請で賃金が増えたことを評価しながらも、「組合がだらしがないから、政府が要請した」と指摘する。そのうえで
「政府がこの先も賃上げを要請し続けるとは限らない。組合は賃上げ要求をあきらめてはいけないし、他にも労使の懸案事項を解決する
努力を続けていく必要がある」と、訴えている。
ソース(東京新聞) URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)