14/10/03 18:27:54.41
URLリンク(www.bloomberg.co.jp)
1年前と比べて現在の暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」という家計が全体の約半数に達し、
安倍政権が誕生する直前の水準まで高まっていることが日本銀行の調査で分かった。
調査は日銀が四半期ごとに行っている「生活意識に関するアンケート調査」。
現在の暮らし向き(1年前対比)について、「ゆとりがなくなってきた」との回答が48.5%と、
安倍政権が誕生する前に行われた2012年12月調査(50.4%)以来の高い水準となった。
「ゆとりがなくなってきた」と答えた人にその理由(複数回答)を聞いたところ、「物価が上がったから」という
回答が66.2%に達し、「給与や事業などの収入が減ったから」の48.5%を上回り、最多の回答となった。
「物価が上がったから」という回答は、消費税率引き上げ後に行った前回6月調査(61.9%)をさらに上回った。
日銀は今年度の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)について、消費増税を含むベースで前年比3.3%上昇、
除くベースで1.3%上昇と着実な上昇を見込んでいる。
一方、これまで1.0%とみていた実質国内総生産(GDP)の見通しは大幅な下方修正の可能性が強まっている。
シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストはブルームバーグ・ニュースの取材に対し、
「実質所得の減少が日銀が想定する以上に個人消費の重しになっている」と指摘。
「先行き個人消費が上向くとしても、その勢いは限定的になる可能性が高いだろう」としている。
■景況感は大震災以来の落ち込み幅
景況感を聞いた調査では、現在を1年前と比べて「良くなった」との回答が減少し、「悪くなった」との回答が増加したことから、
前者から後者を引いた景況感DIはマイナス20.4に悪化。
前回調査を10.4ポイント下回った。悪化幅は東日本大震災で大きく落ち込んだ2011年6月(17.2ポイント)以来の大きさとなった。
現在の物価に対する実感(1年前対比)は、「上がった」との回答(「かなり上がった」と「少し上がった」の合計)が80.4%に達し、
リーマンショック直後の08年12月調査(86.6%)以来の高水準となった。
一方で、家計の予想物価上昇率が高まる兆しは見られなかった。
1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか聞いたところ、中央値(回答を数値順に並べた際に中央に位置する値)は3.0%と、
13年3月調査以来同じ水準が続いている。
物価が今後5年間で毎年平均何%程度変化すると思うか聞いた質問では、中央値は3期連続で2.0%と、
13年12月調査(2.5%)からはむしろ水準が切り下がっている。
■自縄自縛に陥る日銀
日銀は13年8月8日の金融政策決定会合後の公表文で、「予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる」という判断を
示して以来、ずっとこの表現を変えていない。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは9月30日のリポートで、
「仮に、予想物価上昇率に関しても輸出と同じ2四半期程度のタイムフレームで日銀が率直に判断を下す場合には、
たとえば『このところやや低下している』といった表現になるだろう」と指摘。
しかし、「そう書いてしまうと、『物価シナリオが外れていることを日銀が初めて認めた』という認識が内外市場で一気に広がり、
早期追加緩和観測が盛り上がって、日銀がそのまま追加緩和に追い込まれかねない」とした上で、
日銀は「自縄自縛」に陥っていると分析している。
今回の調査は8月8日-9月3日に全国の満20歳以上の個人4000人(有効回答率53.4%)を対象に行った。