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高さ３００メートルと日本一の超高層ビル「あべのハルカス」（大阪市阿倍野区）に入る近鉄百貨店本店が、全面開業から半年で
軌道修正を迫られている。集客の目玉として期待した若い女性向けの専門店街「ソラハ」の不振などで売上高が目標を下回り、
平成２７年２月期の売上高目標を約２割も下方修正、９月中旬には売り場を改修する。百貨店に加え、ホテルなどが入るハルカスは
近畿日本鉄道グループの事業連携の試金石だ。そのハルカスの中核施設の百貨店がつまずけば、グループ経営に影を落としかねない。
■ソラハ不振が主因
「あべのハルカス近鉄本店を早期に軌道に乗せ、業績の向上を図る」
８月２５日、近鉄百は本店の２７年２月期の売上高目標を従来の１４５０億円から１１７０億円へと引き下げた。近鉄百全体の
２７年２月期の連結売上高予想も、３０４０億円から１７０億円も下方修正して２８７０億円にすることを発表した。それに合わせて
出したコメントには焦りがにじんでいた。
近鉄本店では３～７月の売上高が目標を約２割下回り、来店客数も目標より約１割少なかった。不振の大きな原因は、ソラハの
低迷だ。
近鉄百は、これまで手薄だった２０代を中心とした若い女性を獲得するため、ソラハで品ぞろえを充実させた。ところが、来店客からは
「案内が少なく、初めてくる人にはソラハの場所はわかりにくい」と指摘されるなど、店内での顧客誘導のまずさが客足を遠ざけたようだ。
近鉄百の高松啓二社長は「雰囲気や音楽など、若い女性が好むような演出も不十分だった。来店客を呼び込む仕掛けが必要だ」
と指摘した。
不振を受け、近鉄百は数千万円を投じ、９月中旬の完成をめどにソラハの改修に踏み切る。来店客が多い２階の入り口からソラハへ
つながる通路を３本から２本に減らすと同時に、幅を約１メートル拡張して約２・５メートルにする。通路入り口にはゲート看板も設置する。
■売り場の配置換えや増税も原因
近鉄本店の不調はソラハのせいだけではない。ハルカスができる前の旧店舗と売り場の配置を変えたため戸惑う客が多いという。
地下の食料品フロアでは生鮮食品と総菜の売り場が遠く離れてしまい、買い回りがしにくいと来店客から指摘が出た。このため近くに
再配置して買い物がしやすいようにする。
また、近鉄本店は売り場面積が約１０万平方メートルと日本最大規模。このため業界では「これまでにない規模でノウハウがなかった
ため、客層などが見込みと違ったのかもしれない」との見方もある。
このほか４月の消費税増税で、高額品などの販売が伸び悩んだことも大きい。「流通業界全体でいえることだが、増税の影響を
読み違えた可能性がある」（業界関係者）という。
■しばらくは我慢続く
近鉄百が旗艦店で短期間のうちに売り場を見直すという異例の展開となったのは、本店がつまずけばグループ全体の経営戦略にも
狂いが生じかねないという危機感があるからだ。
近鉄は来年４月に純粋持ち株会社に移行し、各事業の連携を強化する。その試金石が１３００億円もの巨費を投じたハルカスだ。
「失敗は許されない」（近鉄幹部）と肩に力が入り、近鉄百貨店がもともと高すぎる売上高目標を掲げていたことが考えられる。
近鉄百にとっては、本店の早期の立て直しが至上命題だ。ただ前出の関係者は「悲観的になる必要はないが、一気に逆転ホームラン
を打つのは難しい」とみており、近鉄百はしばらく我慢を強いられそうだ。
ソース（MSN産経ニュース） URLﾘﾝｸ(sankei.jp.msn.com)
写真＝日本一の高層ビル「あべのハルカス」だが、肝心の近鉄百貨店の売上高は厳しい
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