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午後4時に退社? フィンランド人が徹底的に効率よく働く理由とは
URLリンク(www.huffingtonpost.jp)
教育や福祉に手厚く、日本のように待機児童問題で悩むこともない男女平等の国、フィンランド。
フィンランド人男性と結婚後、現地に移住し2人の子供を育てるフリーライター・靴家さちこさんが見た、その理想と現実とは?
■駆け足で退社するフィンランド人
夕方6時。―それは、多くの日本の勤め人にとってそろそろ帰りの電車の込み具合が気になる頃、
あるいは「今日も残業か……」とため息をつく時刻―であろうか。
その6時に、ものすごい勢いでパソコンの電源を切り、たどたどしく「オツカレサマ」をいいながら
走り去る人々を私は見たことがある。それは社内の7割を占めるフィンランド人、もしくは欧米人であった。
その彼らに挨拶を返しながらもまだパソコンの画面にへばりつき、あるいはもう残業が確定している
仲間同士で夕飯の相談しているのが日本人従業員。これが、今から15年ほど前に私が就業していたノキア・ジャパンの光景だ。
フィンランド人上司は遅くまで残業する日本人従業員に向かってよくいったものだ。「もう帰りなさい」
「奥さんが待ってるでしょう」と。特に新婚の日本人男性にはうるさくいっていた。
従業員を“会社の歯車”としてではなく、きちんと“人”として扱うヨーロッパの企業人らしい振る舞いだと感心したものである。
■残業は効率が悪い?
さてそのノキア・ジャパンでは、長時間労働にも耐え、締め切り厳守で働く日本人は高く評価されていただろうか?
それに対する私の答えは「NO」だ。私とて、プライベートライフを多少犠牲にしてでも仕事に忠実な
日本人を「勤勉だ」「まじめだ」と褒めて欲しかった。お世辞でもいい、おだてて乗せて、
自分たちの仕事を押し付けるのでもいい。しかし、正面切って「日本人は勤勉で長時間労働にも耐える
良い働き手である」といってくれたフィンランド人は皆無である。
当時隣の部署で働いていたフィンランド人のAさんは、「日本人はだらだら遅くまで働いていて効率が悪い」
「そんなに長時間働いて、頭が冴えるのか?」とまでいう。「でも遅くまで働く彼らがいるから、
日本のプロジェクトには遅れが少ないのでは?」といい返すと、「与えられたタスクの内容を吟味せず、
無駄なことでも延々とやるから残業になるのだ」という。そこで「上司からの命令だからでは?」と反論すると、
「フィンランドでは相手が上司であろうと、現場を一番よく知っている人間が無駄な課題やプロセスには『NO』といって、
より効率の良いやり方を提案する」といい放った。
―その感覚は、実際に人口わずか540万人のフィンランドに住むようになってからわかるようになる。
リソースの少ない国では効率良くやらなければ疲弊してしまうのだ。
それにしても顔を真っ赤にして、走るように職場を去るフィンランド人。その多くは結婚していて子供持ちだった。
欧米人は家庭を大切にするものだと感心はしたが、それほど嬉しそうな顔をして帰っている訳でもないので、
見ていて不思議な違和感が残る。ある日見かねて「何でそんなに慌てて帰るのですか?」と聞くと、
「仕事ばかりしていたら、妻から離婚されてしまうよ」と返された。
■充実の「家庭の時間」?
午後4時―これが、2004年に渡ったフィンランドで、フィンランド人の夫が家に帰ってくるようになった時間だ。
夫は残業になりそうな仕事がある日には朝早くに出勤し、ランチもフィンランド式に30分で済ませるようになった。
当時でもフィンランドの家庭における共働き率は7割を超えていて、働く夫婦は午前8時から午後4時の8時間労働をこなしている。
子供の朝ご飯は保育園で提供され、夫婦のどちらか朝早い方が子供を送り、残業の可能性が低い方が迎えに行くなどして分担している。
北欧は「男女平等」の国とはいえ、女性が男性化することが平等とは捉えられていないので、母親であることを優先する女性は、
定刻で帰れる職種を選ぶ。ありがちな光景は、朝は父親が園まで送り届け、夕方に母親が迎えに行くというパターンだ。
保育園は、自治体に1カ所あるかないかの24時間制の園以外は全て午後5時頃に閉園する。
よって午後4時に退社しないわけにはいかない。これがフィンランド人の退社時に走る習慣の一因と言っても過言ではない。